粟田神社の粟田祭が行われ、今年も大燈呂(だいとうろ)が巡行しました。
粟田神社の粟田祭は千年の歴史を持つ、見どころが多いお祭です。剣鉾や神輿が出る神幸祭の前日の夜に行われるのが「夜渡り神事」。そこに登場するのが、大きな燈籠である大燈呂(だいとうろ)です。大燈呂は約180年前に途絶えましたが、2008年に京都造形芸術大学の協力で復活しました。学生たちが青森のねぶたをイメージして作った灯籠があまりに見事であったため、神社が依頼をして作成したそう。復活に際しては古文書を調べ、氏子への聞き取り調査も行って燈籠のテーマを決めるなどされているそうです。
さて、毎年新作が登場するのも大燈呂の楽しみのひとつ。私も毎年ワクワクしながら見に行っています。今年も5基が新調され、昨年に続き合計10基もの立派な行列です。モチーフはいずれも神社とその周辺にまつわるもので、学生たちの力作ぞろい。その由緒を想像してみるのも面白いですが、個々の大燈呂の紹介チラシも配られていました。
やはり今年も素晴らしい!新作ではワニザメから白うさぎを守る大国主命(オオクニヌシノミコト)が印象的でした。牛頭天王も荒々しさあふれる姿。近年は表面と裏面とで造形を変えるリバーシブルな作品が増え、牛頭天王の裏にはスサノオノミコトの姿もありました(まさに神仏習合)。また、出世えびすとそれに祈願をしたという牛若丸もセットで新しくなっています。また、来年の干支にちなんだ亥(猪)の作品もあり、親とウリ坊がそれぞれ2基の大燈呂で登場していました。
夜渡り神事では、大燈呂と神職の方々は知恩院の黒門前にある瓜生石(うりゅうせき)の辺りに進み、石の前で「れいけん祭」が行われます。瓜生石は知恩院ができる前からあると伝わる石で、知恩院の七不思議のひとつとしても知られています。この石に八坂神社の牛頭天王(スサノオ)が降臨して、一夜のうちに石の上に瓜が生えたとされています。「れいけん祭」は、粟田神社と知恩院との合同行事で、比較的珍しい神仏習合の儀式形態を色濃く残す祭事とあって、今年も多くの方で賑わっていました。大燈呂は毎年見に来たくなる秋の行事のひとつです。
お知らせ
「月刊茶の間 10月号」で10月の京都の行事の特集をさせていただきました。こちらのリンクより、先着3000名様に無料プレゼントも受け付けられています。
散策・講座のお知らせ
※散策・講座等のご依頼はこちらから!お気軽にご連絡ください。
- 10月8日(月・祝)【受付中!】
ススキたなびく鷹峯の源光庵と本阿弥光悦ゆかりの光悦寺へ - 10月14日(日)【まいまい京都さんで受付中!】
【八瀬】天皇の柩を担ぐ古よりの民、八瀬童子が暮らす山間の集落へ - 10月17日(水)【まいまい京都さんで受付中!】
【御所】歴代天皇が住まわれた「御所」、宮廷文化の粋をめぐる - 10月23日(火)【受付中!】
口丹波の祇園祭 山鉾立ち並ぶ「亀岡祭」の宵宮へ - 10月27日(土)【受付中!】
八幡市の名刹 尾張徳川家ゆかりの「正法寺」へ - 10月28日(日)【まいまい京都さんで受付中!】
【中京】京都まちなか隠れ珍スポット10連発☆碁盤の目ジグザグ探検ツアー - NHK文化センター京都教室で受付中!
京都の魅力を徹底解説!プロガイドが教える定番から穴場まで - NHK文化センター梅田教室で受付中!7月~9月の新企画!1回のみのお申込みも可
四季の京都を楽しもう!~プロ観光ガイドと歩く散歩道~ - 講座資料を販売中!
京都講座の過去資料を販売しています。
ガイドのご紹介
吉村 晋弥(よしむら しんや)
第14回京都検定1級(合格率2.2%)に最高得点で合格。気象予報士として10年以上。第5回京都検定にて回の最年少で1級に合格。8年ぶりに受験した第13回京都検定で再度1級に合格し「京都検定マイスター」となる。これまでに訪れた京都の観光スポットは400カ所以上。自らの足で見て回ったものを紹介し、歴史だけでなくその日の天気も解説する。毎月第2水曜日にはKBS京都ラジオ「笑福亭晃瓶のほっかほかラジオ」に出演中。「京ごよみ手帳 2018」監修。特技はお箏の演奏。