4月29日に訪れた大原の寂光院では汀(みぎわ)の桜が名残の花を咲かせていました。
先日(29日)ご案内で大原へと足を延ばしてきました。三千院の石楠花(シャクナゲ)はちょうど見頃で先日ブログに書かせていただきました。一方、寂光院では本堂前の池のほとりに咲く「汀(みぎわ)の桜」が咲いていました。29日の段階で花が散っていましたので、現在は散り果てているでしょう。
寂光院といえば、平家滅亡後に平清盛の娘である建礼門院・徳子が隠れ住んだことが有名ですが、平家物語(覚一本)の最後では建礼門院を訪ねて後白河法皇がやってくる場面が描かれています。法皇が訪れたのは、青葉の頃でした。都から遠く離れた寂光院は寂しい山里の寺で、庭には若草が茂り、柳が枝をなびかせ、池の岸辺には山吹が咲き乱れて、山ホトトギスが鳴いていたといいます。そして法皇が目にしたのが「青葉が交じった遅桜」です。法皇は「池水に 汀の桜散り敷きて 波の花こそ盛なりけれ」と和歌を詠み、しみじみとその風景を眺めたと伝わります。
今でも境内の池には「汀の桜」が咲き、当時の風情を偲ばせます。この日の汀の桜は、まさに「青葉が交じった遅桜」で、散った花びらが池を飾り、まさに平家物語さながらの光景でした。寂光院で平家物語を偲ぶにふさわしい時期はまさにこの桜が咲く頃でしょう。平家物語を愛する方には、是非ご覧になって頂きたい桜です。
「京ごよみ手帳2019」訂正のお知らせ
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ガイドのご紹介
吉村 晋弥(よしむら しんや)
第15回・第14回京都検定1級(合格率2.2%)に2年連続の最高得点で合格。気象予報士として10年以上。京都検定マイスター。これまでに訪れた京都の観光スポットは400カ所以上。自らの足で見て回ったものを紹介し、歴史だけでなくその日の天気も解説する。毎月第2水曜日にはKBS京都ラジオ「笑福亭晃瓶のほっかほかラジオ」に出演中。「京ごよみ手帳」監修。特技はお箏の演奏。