仁和寺御殿内の北庭・南庭の特別拝観が、今年いっぱい行われています。
仁和寺は世界遺産のお寺として知られ、平安時代に光孝天皇によって建て始められました。しかし天皇は完成を見ることなく亡くなり、その子の宇多法皇によって仁和4(888)年に完成。京都でも数少ない元号を冠するお寺で、境内では京都三大門にも数えられる立派な二王門や、優美な五重塔、御所の紫宸殿を移築した国宝の金堂が印象的です。春には京都の桜を締めくくる遅咲きの御室桜が咲くことでも有名です。
今は「京の冬の旅」で、3月18日まで金堂と経蔵が特別公開されているほか(3月3日・4日は経蔵のみの公開)、今年の5月15日~7月15日と9月7日~11月24日には修復を終えた観音堂内部がいよいよ公開されます。昨年、東京国立博物館で行われた仁和寺展では、観音堂内部が本物の仏像を並べて再現されており、たいへん見応えがありました。今度は仁和寺で目に出来るとあって、楽しみにしています。
さて、2月15日から今年いっぱい特別公開されているのが「御殿」の北庭と南庭です。仁和寺の御殿は、創建当初は宇多法皇が住まわれた場所で、江戸時代初期には御所から御常御殿を移築しましたが、残念ながら明治20(1887)年に焼失。現在の建物は明治末期から大正時代にかけて再建されたものです。比較的新しい建物ではあるものの、その優美な佇まいや内部の襖絵、細部にまでこだわった亀岡末吉の意匠や四季に美しい庭園など、見どころが多い空間です。
御殿は、玄関から白書院、宸殿、黒書院、霊明殿と廊下で結ばれていますが、昨年の台風で宸殿の被害が大きく、この度檜皮葺屋根の葺き替え工事に伴って足場が組まれ、その代わりとして庭園が普段と違う目線で見学できるようになりました。御殿の拝観料は500円とこれまで通りです。
白書院からお庭へと敷かれた通路に沿って白砂の敷かれた南庭へ出ると、白書院の外観や勅指門の裏側を比較的近くで目にすることが出来ます。勅指門は亀岡末吉による渾身の彫刻がデザインされていますので、ぜひ注目をしてみて下さい。宸殿前の左近の桜と右近の橘は、工事の関係で伐られてしまったようなのが残念です。また修復が終われば植え直されるのでしょう。
宸殿は足場に覆われていますが、内部の見学は可能で、原在泉の筆による見事な襖絵はこれまで通り目にすることができます。北庭は足場の関係で、五重塔と飛濤亭(ひとうてい)を望む角度を除いては宸殿からは視界が遮られています。しかし、足場の外側に通路が設けられていて、より近い場所で北庭を見学することが出来ます。
北庭は池泉式の雅な庭園で、斜面を利用した滝組も今回はより近くで目に出来ます。このお庭の制作年は不明ですが、明治から大正期には七代目・小川治兵衛によって整備されています。北庭・南庭とも、今回の特別公開では普段とは違った視点から眺めることができ、私のように何度も訪れている人間には新鮮さがありました。ただ、気になったのが特別に設けられている通路には屋根がないため、雨の日にはどうなるのかというのは気になりました。特別拝観は今年いっぱい行われていますので、また折を見て各季節に訪れてみたいと思います。
「京ごよみ手帳2019」訂正のお知らせ
・P39の三十三間堂「楊枝のお加持と大的大会」の日程が1月14日となっていますが、正しくは「1月13日」です。
・P225の「京都御所」のデータで、2番の休みは「月曜(祝日の場合は翌日)・年末年始・臨時休あり」です。
ご迷惑をおかけいたします。
散策・講座のお知らせ
※散策・講座等のご依頼はこちらから!お気軽にご連絡ください。
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【特別講座】京都の桜 徹底解説!穴場から定番まで見頃の桜を楽しむ方法 - 【受付中!】3月2日(土)18時~20時
【特別講座】京都さくら物語 ~人々の思いを伝える桜たち~ - 3月3日(日)午後(三十三間堂~法住寺)、3月9日(土)夕方~北野天満宮と梅園のライトアップ、3月10日(日)午後 → おそらく青谷梅林、3月14日(木)午後 → 東福寺の涅槃会、3月15日(金)午後 → 清水寺青龍会、3月16日(土)午後 → 行き先未定、3月17日(日)午後 → おそらく淀の河津桜、3月21日(木祝)午後 → 行き先未定
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ガイドのご紹介
吉村 晋弥(よしむら しんや)
第14回京都検定1級(合格率2.2%)に最高得点で合格。気象予報士として10年以上。第5回京都検定にて回の最年少で1級に合格。8年ぶりに受験した第13回京都検定で再度1級に合格し「京都検定マイスター」となる。これまでに訪れた京都の観光スポットは400カ所以上。自らの足で見て回ったものを紹介し、歴史だけでなくその日の天気も解説する。毎月第2水曜日にはKBS京都ラジオ「笑福亭晃瓶のほっかほかラジオ」に出演中。「京ごよみ手帳」監修。特技はお箏の演奏。