夏の上賀茂神社のならの小川は、子どもたちの遊び場になっています。
8月も後半に入りましたが、連日暑い日が続く京都。水遊びもしたくなりますが、上賀茂神社を流れるならの小川は子どもたちの遊び場にもなっています。上賀茂神社の境内には上流部から御手洗川(みたらしがわ)と御物忌川(おものいがわ)が流れ込みますが、楠橋(くすのきばし)と禰宜橋(ねぎばし)の間で合流をして改めて御手洗川と呼ばれます。そして庁屋(ちょうのや)へと通じる神事橋(じんじばし)から下流では「ならの小川」と呼び名が変わり、さらに境内を出てからは明神川と名前を変えて社家町を流れていきます。わずかの距離の間でこれほど呼び名が変わる川も珍しいでしょう。
ちなみに「ならの小川」の「なら」は奈良県の奈良ではなく、樹木の「楢(なら)」です。かつては川に沿って楢の木が茂り、その葉を閉じ合わせたものを神饌を乗せる器としてして使用していたそうです。また、百人一首の藤原家隆(ふじわらのいえたか)の歌で「風そよぐ ならの小川の 夕暮れは 禊ぞ夏のしるしなりける」は、この川をイメージしているともされ、川沿いには歌碑が立っています。ちょうど夏の頃(7月下旬~8月初め)の和歌で、今の時期の夕暮れは、家隆の和歌のような風情といいたいところですが、実は家隆は屏風絵に書かれた風景をもとに和歌を詠んでおり、その屏風絵が上賀茂神社のならの小川であるという決定的な証拠はありません。とはいえ、和歌の場面を追体験するにはやはり上賀茂神社のならの小川がふさわしいでしょう。
御手洗川は清めの神事でも用いられる川ですが、この時期のならの小川のエリアでは、川に入って遊ぶ子どもたちや親子連れが何組も訪れています。格式ある神社のイメージがある上賀茂神社も、地元の方に親しまれている神社という側面もあり、楽しそうにはしゃいでいる子どもたちの姿を眺めるのも心が和みます。木陰も涼しく、水も気持ちよいですので、お近くに行かれる際は立ち寄ってみてください。
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吉村 晋弥(よしむら しんや)
気象予報士として10年以上。第5回京都検定にて回の最年少で1級に合格。8年ぶりに受験した第13回京都検定で再度1級に合格し「京都検定マイスター」となる。これまでに訪れた京都の観光スポットは400カ所以上。自らの足で見て回ったものを紹介し、歴史だけでなくその日の天気も解説する。毎月第2水曜日にはKBS京都ラジオ「笑福亭晃瓶のほっかほかラジオ」に出演中。「京ごよみ手帳 2017」監修。特技はお箏の演奏。