世界遺産の高山寺は明恵上人ゆかりのお寺として知られています。上人は8歳で両親を亡くし、釈迦を父に仏眼仏母を母と見たてて信仰を深め、23歳から51歳に至るまでの約30年間にも及ぶ夢記や、弟子が明恵上人が実際に行っていた樹上での座禅の様子を描いたという絵、お茶にまつわる話でも知られています。明恵上人の住房とされる国宝の石水院を訪ねれば、明恵上人の面影をしのぶことができることでしょう。ただこの石水院、お寺への入山料とは別料金ですのでご注意ください。
石水院といえば、西村虚空によって彫られた善財童子像が印象的。西村虚空は、虚鐸(きょたく)と呼ばれる長尺の尺八を吹く人物としても知られていました。高山寺では他にも鳥獣戯画が有名で、石水院で複製を目にすることもできます。なお、鳥獣戯画は北山駅の近くにある「陶板名画の庭」でも大きな陶板で見ることができます。
石水院から望む山並みの風景は見事で、輝く緑は心を癒してくれます。石水院の建つ場所は明恵上人の生きた時代とは異なるものの、上人もこうした風景を眺めていたのではないかと思わせてくれます。境内には明恵上人のお墓や日本最古の茶園、仁和寺から移築された金堂などが、木々の木漏れ日の間に点在しています。市街地とは異なる趣がある高山寺。じっくりと時間をとって訪ねてみてください。
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ガイドのご紹介
吉村 晋弥(よしむら しんや)
気象予報士として10年以上。第5回京都検定にて回の最年少で1級に合格。8年ぶりに受験した第13回京都検定で再度1級に合格し「京都検定マイスター」となる。これまでに訪れた京都の観光スポットは400カ所以上。自らの足で見て回ったものを紹介し、歴史だけでなくその日の天気も解説する。毎月第2水曜日にはKBS京都ラジオ「笑福亭晃瓶のほっかほかラジオ」に出演中。「京ごよみ手帳 2017」監修。特技はお箏の演奏。