八幡市の石清水八幡宮の門前名物として知られるのが走井餅です。
走井餅は江戸時代の明和元(1764)年に大津で創業されました。湧水の「走井」を用いて作ったことに由来します。走井は天皇の産湯にも用いられたほどの名水でした。走井餅は細長い形をしていますが、これは平安時代の刀鍛冶・三条小鍛冶宗近が走井で剣を鍛えたという故事にちなんで刀の荒身を表してるそうです。
走井餅は、明治43(1910)年になって同じく名水で知られる石清水八幡宮のお膝元に引き継がれ、現在は八幡の名物ともなっています。八幡へ受け継がれてほどなく大津の本家は廃業し、八幡の走井餅が直径を唯一伝えるとされます(現在、大津の追分に「走り井餅」を売る店はあります)。
さて、八幡の走井餅が嬉しいのはそのお手頃なお値段。お店では走井餅2つに煎茶で350円です。せっかく八幡まで来られたら、喫茶店でコーヒーを頂くよりも、門前名物の走井餅で一服していただくのもオススメ。やわらかい羽二重餅は店の奥でつかれているようで、この日は奥の方からそんな音も聞こえてきました。走井餅は5個630円からお持ち帰りもできますので、お土産にもよいでしょう。八幡に行かれたら、口にしてみてください。
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ガイドのご紹介
吉村 晋弥(よしむら しんや)
気象予報士として10年以上。第5回京都検定にて回の最年少で1級に合格。これまでに訪れた京都の観光スポットは400カ所以上。2011年秋は京都の紅葉約250カ所、2012年春は京都の桜約200カ所を巡る。自らの足で見て回ったものを紹介し、歴史だけでなくその日の天気も解説する。毎月第2水曜日にはKBS京都ラジオ「笑福亭晃瓶のほっかほかラジオ」に出演中。「京ごよみ手帳 2016」監修。特技はお箏の演奏。