9月8日は中秋の名月。八坂神社の観月祭と、下鴨神社の名月管絃祭へと足を延ばしてきました。
8日は兵庫県にある日生中央駅前のカフェ・プーランクさんで京都講座を開催し、京都に戻ってきたのが19時頃でした。どこへ行こうか迷いましたが、まず向かったのは八坂神社です。18時過ぎには交響曲の演奏も行われていましたが、私が訪れたころには「和」の舞楽が奉納されている最中でした。舞殿のまわりは多くの方が囲んでいて遠巻きでしか見えませんでしたが、雅楽の演奏に合わせて二人の舞人が優雅な舞を見せてくれました。
八坂神社まで行くと東山は以外と高く、月が境内を照らすのは天文的な月の出からずいぶんと時間が経ってからとなりますが、私が訪れた19時45分の段階ではすでに月が照っていました。今年はちょうど空が晴れて美しい名月を望めました。例年、秋雨の季節でもありますので、昨年に続き運がよかったですね。舞楽に続いていは、お箏の演奏も行われました。舞殿にはススキが飾られ、華やかな和の調べが日本らしさをかもしだし、耳を傾けている人たちも満足されているようでした。
続いて向かったのは下鴨神社。境内では「名月管絃祭」が行われます。表記は「管弦」ではなく「管絃」です。私はお箏を弾きますが、お箏も「弦」ではなく「絃」と表記し、尺八とあわせて「いとたけ(糸竹)」と呼びます。漢字の表記の違いや歴史を調べてみると、つまるところ「どちらの表記でもOK」という結論のようですが、こだわる方はこだわる部分かもしれません。
話がそれました。下鴨神社の境内には地元の名物を販売するテントも並び、橋殿ではちょうど雅楽の調べに合わせて優雅な舞が奉納されている最中でした。下鴨神社はどの行事も基本的に混み合うのが特徴ですが、例にもれず、橋殿の周りはすごい人で遠巻きにしか見ることができません。遅れて行く方は、雰囲気を楽しむものとおおらかな気持ちで行かれるとよいでしょう。
また、境内には立礼茶席も設けられていて、野点席で雅楽の調べを耳にしながらお抹茶を楽しむことができます(茶席券は1000円)。こちらは後半はかなり空いていますので、風流な時間を過ごしたい方にはおすすめ。残念ながら茶席から月を見るのは難しいと思われますが、もしかすると北側の席に座って、月が高く上る遅めの時間ならば、楼門の上辺りに月が顔を出してくれるかもしれません。今年は中秋の名月の日付が早かったので、より早く高く月が上る、遅い年の方が月を見られる可能性は上がるのではと思いました。
この日は、楼門の上に輝く月が美しく輝き、訪れた多くの人たちが楼門越しの月の写真を撮っていました。京都らしい建物とともに眺める月は本当に素晴らしいです。私が夢中になって写真を撮っている間に舞楽の奉納は終わり、舞殿に飾られていたススキが人びとに授与されていました。八坂神社でもそうですが、ススキは最後に持って帰れるようです。また舞殿に並べられた月へのお供えには、神社が発祥の「みたらし団子」もありました。さすが下鴨神社ですね。賑わいを見せる八坂神社と下鴨神社の観月の行事。それぞれ京都らしい風流な月見を楽しむことができておすすめです。
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ガイドのご紹介
吉村 晋弥(よしむら しんや)
気象予報士として10年以上。第5回京都検定にて回の最年少で1級に合格。これまでに訪れた京都の観光スポットは400カ所以上。2011年秋は京都の紅葉約250カ所、2012年春は京都の桜約200カ所を巡る。自らの足で見て回ったものを紹介し、歴史だけでなくその日の天気も解説する。特技はお箏の演奏。