伏見稲荷大社は五穀豊穣をもたらす神として厚い信仰を集めてきた神社ですが、諸祭事に使われる神饌米は、境内にある神田に植えられた稲によって賄われています。伏見稲荷大社の神田は、昭和天皇の即位記念として向日市寺戸に設けられましたが、昭和23年に稲荷山のふもとに移されました。現在の神田は約100坪で2枚あり、田に植えられた稲は10月25日の抜穂祭で収穫されます。約150kgの米がとれるそうです。
田の神、穀霊への信仰も深いものがありますが、今回は時間の都合で祭りの次第を簡単にまとめます。本殿での13時からの神事の後、神職・神楽女(かぐらめ)・早乙女(田植担当)らが14時頃に神田に移動してきます。まずは神田を祓い、御幣櫃に入れられた苗を神職が取り出して苗を植える代表者に渡し、さらに早乙女たちに手渡されると、神楽女が「御田舞(おたまい)」を舞う中で、一斉に苗が植えられていきます。
早乙女たちは手慣れたもので見る間に植え付けて行きます。神楽女の舞には詩も付いています。「山城や稲荷の神の御田祭り いざもろともに往きて舞はばや」「八束穂の稲荷の御田におり立ちて 舞いつ奏でつ植うる早乙女」「稲荷山かげをひたせる斎田(いわいだ)に 八束(やつか)垂穂(たりほ)のあきの色みゆ」。舞が終わると早乙女は一旦手を止めて上に戻り、その後神職らが引きあげた後、改めて田に下りて最後まで植えて完成です。田植えや御田舞の様子は動画でもご覧ください。
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ガイドのご紹介
吉村 晋弥(よしむら しんや)
気象予報士として10年以上。第5回京都検定にて回の最年少で1級に合格。これまでに訪れた京都の観光スポットは400カ所以上。2011年秋は京都の紅葉約250カ所、2012年春は京都の桜約200カ所を巡る。自らの足で見て回ったものを紹介し、歴史だけでなくその日の天気も解説する。特技はお箏の演奏。