京都各地でお盆は先祖の霊(精霊:しょうらい、しょらい)を迎える行事が行われていますが、妙心寺もそのひとつです。仏殿や法堂の周りに先祖供養のために奉納された絵入り提灯約1000個に火が灯され、僧侶の読経が響く独特の雰囲気の中で、迎え鐘が撞かれます。また、山門もライトアップをされ、美しく夜空に浮かび上がります。通常であれば境内には夜店の屋台も並びますが、今年は台風の影響で夜店は無しとなりました。
妙心寺の山門がライトアップされる機会は珍しく、考えてみればお精霊迎えの時だけかもしれません。とても幻想的で美しかったです。また仏殿や法堂の周りに飾られた灯籠もやはり綺麗です。そして境内には法要での読経の声がスピーカーで響きわたり、法要が終わると各家の先祖供養での読みあげも聞こえてきます。
お精霊迎えは法堂で行われていて、塔婆などはこちらで求めることができます。法堂内部は写真撮影は不可ですが、狩野探幽が描いた雲龍図はいわば「夜間拝観」状態で目にすることができます。普段の拝観とは全く異なる印象の堂内で、しばし天井を見上げてしまいました。一方、仏殿の中には迎え鐘があり、お心持で撞くことができます。私も撞かせていただきました。
灯籠は近づいてみると可愛らしい絵が描かれていて、子どもたちからも人気です。絵はパターン化されているものがほとんどで、ぬり絵のように色が塗られているようでした。台風接近という悪天候にもかかわらず、境内には地元の方がひっきりなしに訪れて賑わっていました。妙心寺のお精霊迎えは宗旨・宗派は問いませんので、地元の方が広く信仰しているのでしょう。京都の先祖迎えは東山の六道珍皇寺、西陣の千本閻魔堂が知られていますが、妙心寺も境内は幻想的で、非日常の独特な雰囲気があります。機会があれば訪れてみてください。なお、8月16日の朝6時から正午まで「お精霊送り」も行われています。
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ガイドのご紹介
吉村 晋弥(よしむら しんや)
気象予報士として10年以上。第5回京都検定にて回の最年少で1級に合格。これまでに訪れた京都の観光スポットは400カ所以上。2011年秋は京都の紅葉約250カ所、2012年春は京都の桜約200カ所を巡る。自らの足で見て回ったものを紹介し、歴史だけでなくその日の天気も解説する。特技はお箏の演奏。