大法院と等持院の紅葉


18日の午後は、らくたびさんの散策で、妙心寺の大法院と、等持院をご案内してきました。紅葉が見ごろに入り、お抹茶も頂きながら静かに過ごせた散策でした。

妙心寺の大法院は、私の好きなお寺で、公開される春と秋には毎回訪れています。数年前まではとても静かで、時間帯によっては他に誰もいない空間を楽しむこともできましたが、近年はずいぶんと人が増えてきました。それでもまだ京都では穴場のお寺でしょう。秋は境内を紅葉が彩り、お抹茶を頂きながら苔の美しい庭園を眺めることが出来ます。

お庭は茶室に付随した露地庭園で、ひなびた雰囲気の腰掛待合が趣を添えています。茶室は有隣軒と名付けられ、他人に親切にする者は孤独にはならない、常に隣に誰かがいてくれるという論語の教えが秘められています。お寺自身は、信州・松代藩、真田家の菩提寺として創建され、後に家康の娘・亀姫が創建した盛徳院と合併しているため、真田の六文銭の家紋と、徳川家の葵の御紋が並んでいる場所もあります。松代藩の祖となった真田信之は、大坂の陣で名高い真田幸村の兄で、関ヶ原の戦いでは家康方の東軍に与していました。

さて、他にも色々と能書きはあるのですが、このお庭を眺めるときのテーマは「且座喫茶(しゃざきっさ)」です。禅語で「まぁ、座ってお茶でも召し上がれ」といった意味。堅苦しい話は抜きにして、ただ目の前に広がる美しいお庭を眺めながらお茶を頂くという気楽さが、私好みでもあります。日常の慌ただしさから解き放たれたいときにお勧めの場所です。今年は12月2日までの特別公開。お抹茶付きで拝観料は600円というお手軽さも嬉しいですね。

もう一つ巡ったのが等持院。五山十刹の十刹の筆頭で、足利将軍家の菩提寺でもあります。歴代将軍の木像が有名ですが、夢窓疎石の作庭とされるお庭はこの時期紅葉が美しく、その色付きも京都でも早い方。風が穏やかな日は池に逆さ紅葉も映ります。木々や苔の緑の中に紅葉が輝き、こちらも非日常の感動を与えてくれるお庭です。

この日は時雨れ模様の空で、時折細かい雨が降ったかと思えば、太陽をが顔を出して日差しが紅葉を輝かせてくれました。池には雨の波紋が広がって、情緒を添えてくれます。時雨れる日は、こうして刻一刻と変わる風景を楽しめるのが魅力です。今回は、座って眺める大法院のお庭と、歩いて楽しむ等持院のお庭の両方を楽しめた散策でした。ご参加頂いた皆様、ありがとうございました。

ガイドのご紹介
吉村 晋弥(よしむら しんや)

吉村 晋弥気象予報士として10年。第5回京都検定にて回の最年少で1級に合格。これまでに訪れた京都の観光スポットは400カ所以上。2011年秋は京都の紅葉約250カ所、2012年春は京都の桜約200カ所を巡る。自らの足で見て回ったものを紹介し、歴史だけでなくその日の天気も解説する。特技はお箏の演奏。

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