三船祭は、大堰川に雅な芸能の船が浮かぶ様子が、平安貴族が繰り広げた船遊びを彷彿とさせる優雅な祭りで、車折(くるまざき)神社の祭礼として昭和3年から開催されています。車折神社のご祭神は清原頼業(よりなり)で、昭和天皇の即位を記念して、清原頼業の生きた平安時代の船遊びが再現されました。かつては20艘ほどの船が出ていましたが、2013年の台風の影響や資金面の問題で中止を経て、地元有志が保存会を作り、改めて2015年に再開をされました。
船の数は少なくなりましたが、新たに加わった目玉が「清少納言」。車折神社の御祭神・清原頼業(よりなり)公の一族にあたり、枕草子を記した人物として有名です。今年は、小林里佳さんが十二単(ひとえ)姿で輿に乗り、中の島から渡月橋を渡って行きました。続いて川岸の斎場で神事を行ったのち、関係者にお茶が振る舞われ、その後に船に乗り込んでいかれます。
現在の三船祭は、神職や清少納言が乗り込む船と、舞楽が披露される龍頭船、今様が披露される鷁首(げきす、げきしゅ)船がメインで出る形となりました。2013年までと比べると大幅に船の数は少なくなりましたが、その分、龍頭船と鷁首船は2つの船を結び付けて大型化しているように感じます。清少納言が乗った船は以前の扇流船に相当し、清少納言が船上から優雅に扇を流す場面がハイライトのひとつとなりました。
例年であれば三艘の船以外にもお供の船やボートが出るのですが、今年は強風のため出ませんでした。三艘の船も神事が行われる場所から少し川に出ましたが、そこに留まったままで扇流しや今様、舞楽が奉納されました。写真を撮るという意味ではボートは気になる存在ですが、今年はボートがなく船の動きもなかったため、ある意味撮りやすかったでしょう。
今年はイレギュラーとなりましたが、こうした舟遊びは1時間ほどたっぷり行われますので、伝統の芸能をゆっくりと楽しむことができます。それぞれ平安の船遊びを彷彿とさせるような雰囲気がありました。復活した三船祭。関係者の皆様のご苦労はあると思いますが、この先も長く続いてほしいと思います。
「京ごよみ手帳2019」訂正のお知らせ
・P39の三十三間堂「楊枝のお加持と大的大会」の日程が1月14日となっていますが、正しくは「1月13日」です。
・P225の「京都御所」のデータで、2番の休みは「月曜(祝日の場合は翌日)・年末年始・臨時休あり」です。
ご迷惑をおかけいたします。
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ガイドのご紹介
吉村 晋弥(よしむら しんや)
第15回・第14回京都検定1級(合格率2.2%)に2年連続の最高得点で合格。気象予報士として10年以上。京都検定マイスター。これまでに訪れた京都の観光スポットは400カ所以上。自らの足で見て回ったものを紹介し、歴史だけでなくその日の天気も解説する。毎月第2水曜日にはKBS京都ラジオ「笑福亭晃瓶のほっかほかラジオ」に出演中。「京ごよみ手帳」監修。特技はお箏の演奏。