随心院 はねず踊り 2013年

随心院 はねず踊り
3月31日に随心院はねず踊りが行われました。

随心院 はねず梅山科南部、小野にある随心院は、遅咲きの梅で知られる寺。薄紅色の紅梅が、早咲き桜が咲きだす頃に花を咲かせます。薄紅色のことを古くは「はねず色」と呼び、はねず色の梅が咲くころに、小野の里の子どもたちによって各家の前で踊られていたのが「はねず踊り」でした。しかし、時代の流れとともにはねず踊りの風習も廃れてしまいます。昭和48年、はねず踊りの復活を願う人々の声にこたえ、古老の記憶をたどりながら歌詞の不備を補い、さらに新たに節は新たに作曲して振付を加えて、現在の「はねず踊り」が復興されました。ちょうど今年で復活してから40年を迎えました。

はねず踊り随心院のある「小野」の地は、小野氏ゆかりの土地で、平安時代には小野小町が住んでいたとも伝わります。随心院には、小町がもらった恋文を埋めたという文塚や、文を張り付けたという文張地蔵があり、化粧井戸や、小町百歳の像(卒塔婆小町坐像)までもが存在しています。近年は「ミス小野小町」も選ばれていて、絶世の美女かつ才女とうたわれた小町にちなんで選考基準は「美心(びじん)」であること。「美人」ではありませんよ。18歳から30歳の方まで独身女性であれば応募できますので、興味のある方は、随心院ホームページをご覧になってみて下さい。

はねず踊りさて、甦ったはねず踊りの歌詞には、深草少将の百夜通いの物語が盛り込まれています。深草は小野から山を越えて京都側に行った場所の地名で、小野と深草は直線距離では意外と近く、峠道もゆるやか。私も小野や醍醐に自転車で行く際は、五条や三条ではなく、深草の道を使います。その深草の地から小町の元に通いつめたとされるのが、深草少将です。

はねず踊りふとした時に小町を見初めた少将は、心を奪われ、来る日も来る日も小町の元に通い続けますが、小町は一向に家の門を開いてくれません。やがて少将が小町の元に通っているという噂が広がるうちに、どこからともなく「百日通えば思いが通じる」といわれるようになりました。少将はそれを信じ、雨の日も風の日も、連日通い続けます。しかし、季節は秋から冬へと変わる頃。ついに99日目の夜、雪の降る中で少将は力尽き、帰らぬ人となったのです。

はねず踊りなんとも切ない片思いの話ですね。少将は訪れた証に、カヤの実を小町の家の門前においていったともされ、実は小町はそのカヤの実を数えて100日目に思いにこたえるつもりだったなど、様々な余談も伝わっています。小野や醍醐には、このカヤの実を植えたというカヤの木が4本ほど残されているところも面白いですね。実は深草少将は、実在の人物ではなく、あくまで室町時代に作りだされた伝説上の人物です。しかし、百夜通いの悲恋が心を打つためか、今でも京都では有名な人物。深草の欣浄寺は、深草少将の邸宅跡と伝わり、境内には小町と少将の供養塔も立っていますので、訪れてみるのも面白いでしょう。

はねず踊り百夜通いの伝説は様々な派生の筋書きがあって、このブログで書いたのは、京都検定公式テキストブックによります。随心院のはねず踊りの歌詞の中では、深草少将は亡くなったのではなく、99日目に代役をたてたとされ、小町が百夜ならずとも「まぁおはいり」と開けてみると、なんと人が変わっているという筋書きとなっています。この部分、子どもたちが可愛らしく演じる様子は動画もありますので、是非ご覧になってみて下さい。

はねず踊り 今様はねず踊りは、京都に春の訪れを告げ、可愛らしい踊りや歌も印象的。一度見るとまた見に行きたくなるような踊りです。はねず踊りは、毎年3月最終日曜日に行われ、その華やかな色彩と、可愛らしい踊り、早咲き桜の醍醐寺ともセットで行けるとあって、大変な人気を集めています。特に11時からの1回目の踊りは、朝から場所取りが激しいよう。早い方は7時には来ているのだとか!始まる頃には人でいっぱいになります。

はねず踊り 今様ただ、踊りは12時半、13時半、15時と、合計4回ありますので、人の入れ替わりのタイミングを上手く狙えば、前の方に行くことも可能です。また、裏技としては、前日に行われている「はねず踊り奉納法会」を見に行くという方法もあります。随心院の本堂横の部屋で行われ、本番と同様に、はねず踊りも奉納されます。また、例年はねず踊りの後には今様も奉納され、はねず踊りは小学生ですが、今様は中学生が演じています。

石見神楽 大蛇さらに今年は、石見神楽の「大蛇」も奉納されました。本場、島根県からの出張ではありませんが、京都在住の石見神楽の団体が、近年は京都の祭事で奉納する機会を増やしているようです。こちらも京都ではまだ見られる機会が少ないとあって、観客からの喝さいを得ていました。3月の終わりに、はねず踊りや梅を見ながらゆったり過ごすのもおススメです。

ガイドのご紹介
吉村 晋弥(よしむら しんや)

吉村 晋弥気象予報士として10年。第5回京都検定にて回の最年少で1級に合格。これまでに訪れた京都の観光スポットは400カ所以上。2011年秋は京都の紅葉約250カ所、2012年春は京都の桜約200カ所を巡る。自らの足で見て回ったものを紹介し、歴史だけでなくその日の天気も解説する。特技はお箏の演奏。

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