醍醐寺の三宝院を訪れました。
醍醐寺は、理源大師・聖宝(しょうぼう)によって創建された真言宗醍醐派の総本山で、歴代座主が入った三宝院は門跡寺院として高い格式を誇ります。応仁の乱によって衰えた醍醐寺ですが、桃山時代の座主・義演(ぎえん)と豊臣家によって諸堂が復興されました。三宝院には、当時秀吉が基本設計をして造らせたという見事な庭園が伝わり、国の特別史跡・特別名勝に指定されています。この両方を兼ね備えた庭園は、全国で9カ所、京都では金閣寺と銀閣寺の庭園に加え、三宝院庭園の3カ所のみとなっています。
23日は、五大力尊仁王会があり、伽藍エリアの無料公開に加え、三宝院の庭園を間近で目にすることが出来ました。また500円のみで表書院・本堂・奥宸殿・純浄観が特別に公開されていました。本堂には、快慶の傑作として全国的にも名高い弥勒菩薩座像がお祀りされており、人がまばらなお堂の前で静かに手を合わせることができました。また、本堂と純浄観の間には、苔と白砂だけで瓢箪徳利、盃等を表した「酒づくし」の庭があります。
純浄観は、秀吉が催した「醍醐の花見」の際に設けられた八つの茶屋のうち最も大きい建物を移築したものという貴重な建築物。重要文化財である一方で、内部では平成に入って浜田泰介画伯によって描かれた美しい桜と紅葉の襖絵を見学できます。さらに、秀吉が基本設計をしたという立派な庭園が表書院違った角度から望め、天下の名石・藤戸石の形も変化して興味深いものがあります。また、庭の奥にある三段の滝も、場所によってはその様子がよく分かります三段の滝は、東山にある無鄰菴庭園内の滝のモデルにもなっています。
純浄観の下には庭園の池が水路のように入り込んで、奥宸殿の前まで苑池が続いています。かつては奥宸殿の前に舟入があり、船を浮かべて純浄観の下をくぐったのだとか。なんともダイナミックな演出です。水路の奥には茶室の松月亭があり趣を添えています。奥宸殿の内部には、修学院離宮の霞棚、桂離宮の桂棚と並ぶ天下の三名棚のひとつ「醍醐棚」があり、間近で目にすることができます。
なお、2018年の台風で大きな被害が出た場所のひとつが醍醐寺です。仁王門の奥は木々がほとんどなくなってしまうという、衝撃的な光景が広がっています。この台風で三宝院は太閤しだれ桜の太い枝が折れてしまい、樹形が変わってしまいましたが、木そのものは生きていますので、今年も花を咲かせる姿を咲かせてくれると思います。
散策・講座のお知らせ
※散策・講座等のご依頼はこちらから!お気軽にご連絡ください。
- 【受付中!】3月2日(火)13時30分~16時頃
都七福神の布袋尊、蛇腹天井!異国情緒あふれる中国風の禅寺・萬福寺へ - 【受付予定】3月9日(火)午後、3月21日(日)午後、3月30日(火)午前、4月2日(金)午後 → いずれも行き先未定
- 【桜講座を受付中!】3月7日(日)15時~17時頃
【ライブ配信+見逃し配信】京都さくら物語 ~人々の思いを伝える桜たち~ - 【桜講座を受付中!】3月7日(日)18時~20時頃
【ライブ配信+見逃し配信】京都の桜 徹底解説!2021年 穴場から定番まで見頃の桜を楽しむ方法 - 【3月~6月を受付中!】
【ライブ配信+見逃し配信】京都の定番スポット徹底解説!秘められた人々の思いと物語 - 【3月講座を受付中!】
【ライブ配信+見逃し配信】明智光秀の娘・細川ガラシャの生涯 - 【4月~6月を受付中!】
【ライブ配信+見逃し配信】史跡でたどる京都物語 〜歴史の面影をたずねて〜 - 【見逃し配信を受付中!】
【配信講座】知る人ぞ知る!?京都の小ネタと豆知識! - 【配信講座 丹後編】もっと学ぼう京都の魅力 第1回~第3回
- 【オンライン講座】NHK文化センター梅田教室で受付中!
京都のプロガイドが語る定番から穴場まで!季節を楽しむコツ - NHK文化センター京都教室で受付中!
丹後七姫で紐解く丹後の歴史 - NHK文化センター神戸教室で受付中!
旬の京都を再発見!プロのガイドと歩く古都の散歩道 - 講座資料を販売中!
京都講座の過去資料を販売しています。
ガイドのご紹介
吉村 晋弥(よしむら しんや)
京都検定1級に4年連続最高得点で合格(第14回~第17回、第14回合格率2.2%)、「京都検定マイスター」。気象予報士として10年以上。これまでに訪れた京都の観光スポットは400カ所以上。自らの足で見て回ったものを紹介し、歴史だけでなくその日の天気も解説する。毎月第2水曜日にはKBS京都ラジオ「笑福亭晃瓶のほっかほかラジオ」に出演中。「京ごよみ手帳 2020」監修。特技はお箏の演奏。
Instagram(インスタグラム)のアカウントを設けました!
積極的に京都の写真を投稿していきます。リンクはこちら。