泉涌寺 御座所庭園の紅葉


泉涌寺御座所庭園の紅葉が見事な輝きを放っています。

京都は各地で紅葉のピーク。私も毎日どこからしらの紅葉を眺めているのですが、ご紹介したい場所が多すぎてブログは追いついて行きませんね。それだけ京都の紅葉はどの場所も美しく、そして穴場も多いことの表れでもあります。この3連休が今年の秋の人出のピークとなりそうですが、私も取材で慌ただしく京都を走り回りながら、観光客が私だけしかいないお寺で、抜群に美しい紅葉を眺めながらお抹茶を頂いて来ました。京都にはまだそんな場所も残されています。

さて、今回は泉涌寺の御座所庭園の紅葉。21日に眺めてきました。まさに紅葉は最高の状態で、お庭が現れた瞬間に「わぁ~」と、声を上げそうになりました。拝観開始直後だったこともあり、人は数名しかおらず、静かな空間でこの美しい紅葉を楽しむことが出来ました。

泉涌寺の御座所庭園の拝観は、泉涌寺へ通常の拝観料で入った後に、さらに300円の拝観料が必要になります。御座所は境内の奥の本坊にあり、やや場所が分かりにくいこともあってか、人が少なく「穴場」と呼べる場所です。明治期に江戸時代に(文化15年・1818年)に造営された、京都御所内にある皇后宮の御里御殿が移された建物です。内部の襖絵は狩野派をはじめ、江戸時代を代表する各派の絵師によって描かれています。玉座の間もあり、皇室ゆかりの泉涌寺にふさわしい、見ごたえある建物。現在でも、両陛下をはじめ皇族方の御陵御参詣の際の御休所として使われています。

御座所庭園は、四季折々に美しく、昭和天皇はかつて御陵参拝の際にこの庭をめでられ、「春ふけて 雨のそぼふるいけ水に かじかなくなり ここ泉涌寺」との歌を詠まれています。紅葉は黄色と赤のそれぞれに色付く楓が植えられており、木々や苔の緑や灯籠や池と相まって、非常に美しい色彩の豊かさを楽しむことが出来るのが特徴です。この日の朝は冬型で時雨れ模様の空でしたが、一瞬だけ日差しが庭園を照らし、華やかさを加えてくれました。

泉涌寺では、御座所以外にも紅葉が秀逸な塔頭が多くあります。その筆頭は今熊野観音寺。西国三十三カ所霊場の寺としても知られますが、境内を紅葉が優しく包み、御座所と同じように色彩豊かな楓のグラデーションが見られます。永観堂のように赤一色もよいものですが、こうして様々な色が重なる紅葉もまた美しいですね。

他にも雲龍院では、室内から絵画のように眺める紅葉が京都有数のハイレベルな美しさを誇り、25日まで夜間拝観も行われます。今年もすでに見てきましたので、こちらも近日中にブログに掲載予定。また、大石内蔵助ゆかりの来迎院も紅葉が美しく、その向いの善能寺でも、航空殉難者の霊を祀る祥空殿横に秘かな紅葉が彩っています。泉涌寺は、東福寺参詣の後に歩いて行けますので、是非足を延ばしてみて下さい。

ガイドのご紹介
吉村 晋弥(よしむら しんや)

吉村 晋弥気象予報士として10年。第5回京都検定にて回の最年少で1級に合格。これまでに訪れた京都の観光スポットは400カ所以上。2011年秋は京都の紅葉約250カ所、2012年春は京都の桜約200カ所を巡る。自らの足で見て回ったものを紹介し、歴史だけでなくその日の天気も解説する。特技はお箏の演奏。

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