宇治にある世界遺産の平等院は、藤の花が有名です。種類としてはノダフジ、通称は平等院藤として知られるその花は、樹齢は300年程。かつては房の長さが1mにもなり、風に揺らめいて紫の花を咲かせていました。しかし、近年は剪定や天候不順も影響したようで、かつてのような姿を見ることができなかったと思います。ただ、今年は往年の姿に近い状態まで戻ってきてくれました。
藤は平等院を建立した藤原氏を象徴する花で、紫の色も高貴な印象。また、木の寿命が長く、下がった房に小さな花が付く様子は稲穂を連想させるなど、縁起の良い花として古くから大切にされてきました。古代には、蔓(つる)の繊維を「藤布」として利用をしていたそうですが、現在はほとんど利用されず、丹後半島の一部で伝承されて受け継がれています。
また、宇治橋から平等院に向かってに並ぶお店の前にも藤の鉢植えがあります。こちらは毎年出ているそうですが、やはり美しく、目を楽しませてくれます。平等院の中はヒラドツツジも綺麗でした。藤の花は、27日の時点で見頃の終盤といった印象ですので、今週末までとなりそう。お早目に足を延ばしてみてください。
なお、宇治にも人力車が走るようになりました。私も5年前に東山で人力車を引いていたことがあり、影ながら応援をしています。料金が高いことを除けば、大変良い乗り物で満足度も高いです。車夫の方々は勉強熱心で、体力・知力・話術の総合力が求められる仕事。日々笑顔で頑張る姿は尊敬するばかりです。元の場所に戻る周遊コースだけでなく、片道の移動手段としても使えますし、平等院界隈から三室戸寺や天ケ瀬ダムなど、比較的遠方にも行けます。コースはお客様に応じて何パターンも提案してくれるのも、土地勘のない方には嬉しいでしょう。宇治は人力車に向いてる場所だと思いますので、今後、根付いていくとよいですね。
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ガイドのご紹介
吉村 晋弥(よしむら しんや)
気象予報士として10年以上。第5回京都検定にて回の最年少で1級に合格。8年ぶりに受験した第13回京都検定で再度1級に合格し「京都検定マイスター」となる。第14回京都検定1級(合格率2.2%)に最高得点で合格。これまでに訪れた京都の観光スポットは400カ所以上。自らの足で見て回ったものを紹介し、歴史だけでなくその日の天気も解説する。毎月第2水曜日にはKBS京都ラジオ「笑福亭晃瓶のほっかほかラジオ」に出演中。「京ごよみ手帳 2018」監修。特技はお箏の演奏。