城南宮の釿始式 2021年

城南宮の釿始式

1月5日に、城南宮釿始式(ちょうなはじめしき)が行われました。

城南宮の釿始式城南宮は、平安遷都の折、国土の安泰と都の守護を願って創建された神社で、ご祭神は国常立神(くにのとこたちのかみ)、八千矛神(やちほこのかみ)、息長帯日売命(おきながたらしひめのみこと)です。国常立神は、古事記では神世七代(かみよななよ)の最初に現れ、国土・大地の形成にかかわる神様です。神話の世界では、日本の大地も神によって造られており、国常立神はまさにその根幹とも言うべき神なのでしょう。遷都時に都の南方に祀られたのも頷かれます。

城南宮の釿始式城南宮は、方除けの神社としても有名ですが、他にも様々なご利益があり、建築の守護神としても信仰されています。釿始式(ちょうなはじめしき)は、建築工事の安全、ひいては企業・会社の安全と繁栄を祈願して年始めに行われている行事です。この神事では、一本の大きな柱を切り・削り・仕上げる工程を、様々な昔ながらの道具を使う所作をもって表します。

城南宮の釿始式ただ実際には切ったり墨を塗ったりはしません。最初は鋸(のこぎり)、柱を切るしぐさを見せます。次に指金(さしがね)が登場、二人で糸を張って寸法を測り、墨を入れる所作。続いて儀式の由来ともなった釿(ちょうな)、反った刃(やいば)で木を削る道具です。柱の三カ所を削る動き。最後に槍鉤(やりかんな)。木材の表面を整えます。

城南宮の釿始式大工道具には刃物を使うものが多く、中でも釿(ちょうな)は「手斧」とも書き、石器時代から使われたとされる古い道具です。手で体の方へと引っ張って木を削ります。つまり一歩間違うと自分を傷つけてしまう特に危険な道具。実際に昔の大工さんの脛には、誤って切ってしまった傷の一つや二つはあったそうです。

城南宮の釿始式この神事の名前が、鋸(のこぎり)始式でも槍鉤(やりかんな)始式でもなく、釿(ちょうな)始式であるのは、怪我をすることのないようにという、強い思いがあるのかもしれませんね。手に道具をもって神事を担当しているのは、城南宮に出入りしておられる建築業者の皆様。現代は重機を使うこともあると思いますが、それも含めて一年間安全で京都の建築を支えて頂きたいと思います。

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ガイドのご紹介

吉村 晋弥(よしむら しんや)

京都検定1級に3年連続最高得点で合格(第14回~第16回、第14回合格率2.2%)、「京都検定マイスター」。気象予報士として10年以上。これまでに訪れた京都の観光スポットは400カ所以上。自らの足で見て回ったものを紹介し、歴史だけでなくその日の天気も解説する。毎月第2水曜日にはKBS京都ラジオ「笑福亭晃瓶のほっかほかラジオ」に出演中。「京ごよみ手帳 2020」監修。特技はお箏の演奏。

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