勧修寺は醍醐天皇が創建した真言宗のお寺で、門跡寺院として皇室から下賜された建物も伝わります。境内にある氷室の池はこの時期、花菖蒲や睡蓮などが彩って華やかです。池は「氷室」の名は冠していますが、氷を保存しておく氷室があったわけではないよう。実際には、平安時代の1月2日にはここに張った氷を宮中に献上し、その厚さによって五穀豊穣を占ったといわれています。
花菖蒲はアヤメやカキツバタと見分けがつきにくいとされますが、花菖蒲の簡単な見分け方は「花の付け根が黄色くなっている」こと。慣れてくればそれぞれの花も見分けが付くようになります。花菖蒲の中でも細かい種類は豊富にありますが、勧修寺の境内は白系統の明るい色彩の花が多い印象です。
今年は例年よりも花のペースが速く、一部の葉を白く染めるハンゲショウ(半夏生)も、すでに白い姿を見せてきました。また、境内にはアジサイも多く、京都の名所のひとつに数えられるほど。木陰で転々と咲く青色系統のアジサイが多いのが特徴で、涼やかな印象があります。6月の勧修寺はまさに花が旬な場所で、ほかにも藤原高藤にまつわるロマンスや、皇室ゆかりの建物、水戸黄門寄進の灯籠、琵琶湖からやってくる野鳥など、見どころが多いお寺です。是非、じっくりと拝観をしてみて下さい。
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ガイドのご紹介
吉村 晋弥(よしむら しんや)
第14回京都検定1級(合格率2.2%)に最高得点で合格。気象予報士として10年以上。第5回京都検定にて回の最年少で1級に合格。8年ぶりに受験した第13回京都検定で再度1級に合格し「京都検定マイスター」となる。これまでに訪れた京都の観光スポットは400カ所以上。自らの足で見て回ったものを紹介し、歴史だけでなくその日の天気も解説する。毎月第2水曜日にはKBS京都ラジオ「笑福亭晃瓶のほっかほかラジオ」に出演中。「京ごよみ手帳 2018」監修。特技はお箏の演奏。