伏見稲荷大社の北エリアにある荒木神社内の口入稲荷神社は、縁結びのご利益があると人気です。
伏見稲荷大社は五穀豊穣をもたらす神様として名高い一方、様々なご神徳を授けてくださるとされ、平安時代から、あるいはもっと古くから人々は稲荷山へと登り、祈りをささげてきました。明治以降に、その祈りの証が目に見える形となったのが、稲荷山山中の神跡と呼ばれる各所に建てられた「お塚」と呼ばれる石柱群です。稲荷神の別名として、個々人が心の拠り所とするものを「○○大神」のような神名として石に刻み祈りをささげ、願いが叶えば小型の鳥居をお礼に奉納します。まさに人々の尽きることのない祈りが具現化した空間が「お塚」だといえるでしょう。朱塗りの鳥居とともに、現在の稲荷信仰の象徴しています。
そんなお山巡りの終盤、三つ辻から下って行き、終着の産場稲荷も近くなってくる場所にあるのが、荒木神社内にある口入(くちいれ)稲荷神社です。ご利益は縁結びで、口入とは縁談などを取り持つこと。人々の良縁や求人、就職のほか、様々な人とのご縁を結んでくださるとして人気を集めています。
ユニークで可愛らしいのは、稲荷で神のお使いとされる狐が夫婦の姿になった「口入人形」。口入稲荷大神の化身とされ、社務所で買い求めて祈願をして持ち帰り、願いが叶うとお返しするのが習わしだそう。口入稲荷神社の前にはお礼として納められた、たくさんの口入人形が並んでいます。この信仰は昭和初期から始まりました。お塚にしても口入人形にしても、伏見稲荷の長い歴史から見ると「最近」のことですが、こうして新しい信仰形式が生まれ、それを受け入れるのも稲荷社の大らかさかもしれません。今後も新しい祈りの形が生まれながら歴史を積み重ねていくのでしょう。
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ガイドのご紹介
吉村 晋弥(よしむら しんや)
気象予報士として10年以上。第5回京都検定にて回の最年少で1級に合格。これまでに訪れた京都の観光スポットは400カ所以上。2011年秋は京都の紅葉約250カ所、2012年春は京都の桜約200カ所を巡る。自らの足で見て回ったものを紹介し、歴史だけでなくその日の天気も解説する。毎月第2水曜日にはKBS京都ラジオ「笑福亭晃瓶のほっかほかラジオ」に出演中。「京ごよみ手帳 2016」監修。特技はお箏の演奏。