高桐院は大徳寺の塔頭で、創建したのは武将であり茶人としても名を知られた細川忠興(三斎)。父・幽斎の菩提所として、幽斎の弟・玉甫紹琮(ぎょくほじょうそう)を開祖(初代住職)としています。書院の意北軒は千利休の邸宅を移築したものとも伝え、2畳台目の茶室・松向軒は忠興自身が建立した質素な造り。いずれも京都らしい趣を感じられます。
特に人気がある一直線の参道を抜けて拝観受付を済ませ、右に行くと先述の書院や茶室があり、左に進むと客殿(本堂)へと続きます。客殿南には、苔や竹、楓の緑が見事なお庭が広がり、ファンの多いお庭となっています。庭の中央には春日灯籠が据えられ、庭にアクセントを加えています。
この灯籠は細川忠興とその妻・ガラシャの墓に使われている灯籠を模したもの。墓の本物は客殿の西にあり、笠の部分が欠けているのが特徴的です。灯籠はもとは利休の所持品で、秀吉が所望しましたが、利休は灯籠の笠の一部を欠くことで召し上げを避け、その後忠興に与えたと伝わっています。忠興はこの灯籠を大変気に入っていて、諸国をまわる際には持ち運び、さらには自分の墓標にもしてしまったのです。庭の灯籠も後ろ側の欠けなどが、ちゃんと再現されています。
高桐院は紅葉の時も素晴らしく、庭を埋める散り紅葉も見事です。あるいは雪景色の時にも期待通りの風景で迎えてくれます。四季折々に素晴らしいお庭ですが、2017年6月初めで修復のために拝観を休止。1年半の予定でしたが、台風の被害もあって、今年11月に約2年半ぶりに拝観が再開されました。基本的には以前と変わらぬ光景ですが、廊下の床板や板戸など真新しいところもあります。久方ぶりの高桐院、ぜひ訪れてみてください。
散策・講座のお知らせ
※散策・講座等のご依頼はこちらから!お気軽にご連絡ください。
- 【受付中!】12月22日(日)14時~16時40分頃
東山の信仰の地と六波羅蜜寺の「かくれ念仏」へ - 【受付予定】12月31日 → 大晦日の年越し散策
- 神戸新聞カルチャーで受付中!
知られざる丹後丹波の物語 - NHK文化センター京都教室で受付中!
京都の魅力を徹底解説!プロガイドが教える京の歳時記 ~秋の紅葉、春の桜~ - NHK文化センター神戸教室で受付中!
旬の京都を再発見!プロガイドと歩く散歩道 ~古都の秋を楽しむ~ - 講座資料を販売中!
京都講座の過去資料を販売しています。
ガイドのご紹介
吉村 晋弥(よしむら しんや)
第15回・第14回京都検定1級(合格率2.2%)に2年連続の最高得点で合格。気象予報士として10年以上。京都検定マイスター。これまでに訪れた京都の観光スポットは400カ所以上。自らの足で見て回ったものを紹介し、歴史だけでなくその日の天気も解説する。毎月第2水曜日にはKBS京都ラジオ「笑福亭晃瓶のほっかほかラジオ」に出演中。「京ごよみ手帳」監修。特技はお箏の演奏。