今年は19日~21日で、寂光院のかぼちゃ焚きが行われました。
寂光院は、平家滅亡後に平清盛の娘である建礼門院・徳子が隠れ住んだ地として知られ、楓の木が立つ参道の階段を登ったところに本堂があります。建礼門院が住した時代から変わらない風景を見せてくれているような気もする場所で、三千院に比べると訪れる人が少なく、2000年の火災後に再造された六万体地蔵菩薩や建礼門院、阿波内侍像ともゆっくりと向き合うことができます。
平安の昔は、都からはさぞ遠い遠い場所に感じられたのでしょう。その名に含まれる「寂」という文字がお寺の雰囲気を表しているかのようで、悲しき平家物語の結末ともあいまった不思議な感覚をこのお寺に来るたびに感じます。なお、寒い時期のイメージがあるお寺ですが、後白河法皇が寂光院を訪ねた大原御幸の季節は、青葉が混じった遅桜が咲く春。その頃もおすすめです。
さて、寂光院では、例年冬至の頃に「かぼちゃ焚き」が行われ、拝観料のみでいただくことができます。今年は新型コロナウイルスの関係で、お持ち帰りでの接待となりましたが、たいへん美味しいカボチャでした。冬至の日にかぼちゃを食べると中風除けや諸病退散にご利益があるとされ、各地で同様の行事がありますが、今年は矢田寺のかぼちゃ供養は中止となっているなど、大根焚きと同じく受難の年となりました。こうして開催して頂けたことに感謝いたします。
冬至は昼の時間が最も短く、陽の気が最も弱くなるともいえますが、逆に言えば冬至を過ぎれば陽の気は強まり、運気も回復していくと捉えることができます。かぼちゃを頂いて、元気に新年を迎えられたらと思います。
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吉村 晋弥(よしむら しんや)
京都検定1級に3年連続最高得点で合格(第14回~第16回、第14回合格率2.2%)、「京都検定マイスター」。気象予報士として10年以上。これまでに訪れた京都の観光スポットは400カ所以上。自らの足で見て回ったものを紹介し、歴史だけでなくその日の天気も解説する。毎月第2水曜日にはKBS京都ラジオ「笑福亭晃瓶のほっかほかラジオ」に出演中。「京ごよみ手帳 2020」監修。特技はお箏の演奏。
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