上賀茂神社は、下鴨神社と並ぶ山城国一宮のひとつで、平安京創建よりもはるかに前から祭祀が行われていた古い由緒を持つ神社です。その境内には小川が流れ、一連の川ながらいくつかの別の名前を持ちます。まず北西からの御手洗川と北東からの御物忌川が合流をして御手洗側と呼ばれ、岩本社の辺りからは、沢田川が分岐しています。御手洗川は、途中神事橋を過ぎたあたりから「ならの小川」と呼ばれ、さらに境内を出ると明神川と名を変えます。これだけ短い区間で名前が度々変わるのはややこしいのですが、それも伝統の表れなのでしょう。
ならの小川の由来は、かつてはほとりにその葉で神饌を盛る楢の木が茂っていたためとされます。奈良の都と何か関係があるのかとも思われがちですが関係はないようです。ならの小川は、百人一首に載る藤原家隆の「風そよぐ ならの小川の夕暮れは 禊ぞ夏のしるしなりける」の歌でも知られています。実際には屏風に描かれた「六月祓え(みなづきのはらえ)」に添えられた歌で、その屏風の絵が「上賀茂神社のならの小川」であったかはわからないというのが正確ですが、ほとりに石碑があったり、6月30日夜の夏越祓、旧暦6月30日頃にあたる8月初めの風情などに、この和歌の光景をイメージできるのは確かです。
9月に入った京都は少し涼しくなりましたが、日差しはまだ夏のようで、ならの小川は涼しげでした。ほとりには「しのぶ茶屋」と看板に書かれたお休みどころも出ていました。これまでは見かけなかったので、最近登場したようです。私が訪れた平日の昼時は人影がなかったのですが、週末などは営業されているのかもしれません(詳細情報が不明です)。小川を眺めながらお団子を頂けるのも嬉しいですね。
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ガイドのご紹介
吉村 晋弥(よしむら しんや)
気象予報士として10年以上。第5回京都検定にて回の最年少で1級に合格。これまでに訪れた京都の観光スポットは400カ所以上。2011年秋は京都の紅葉約250カ所、2012年春は京都の桜約200カ所を巡る。自らの足で見て回ったものを紹介し、歴史だけでなくその日の天気も解説する。毎月第2水曜日にはKBS京都ラジオ「笑福亭晃瓶のほっかほかラジオ」に出演中。「京ごよみ手帳 2016」監修。特技はお箏の演奏。