寺町通にある革堂(こうどう)は、甘いフジバカマ(藤袴)の香りに包まれています。
台風19号の被害、昨晩は未明まで心配で状況を見続けていましたが、長野市の千曲川が越水するライブカメラ映像は本当に辛いものがありました。被災された皆様に心よりお見舞い申し上げます。土砂災害はまだリスクがあり、二次災害も心配です。まずは被害が落ち着くことを願っています。
革堂(こうどう)は正式には行願寺と称するお寺で、西国三十三所観音霊場の19番札所として信仰を集めています。元は上京(一条小川)にあり、有事には町の人々が集うお堂でもありました。創建は1004年とされ、行円上人によって建立されました。行円上人は、まだ狩人だった時に一頭の牝鹿を射止めたところ、血を流しながらも子鹿を出産した姿を見て心を打たれ、仏門に入ったと伝わります。行円上人は、日ごろから鹿の皮衣をまとっていたところから「皮聖(かわのひじり)」と呼ばれ、上人が拠点とした行願寺も「革堂」と呼ばれるようになりました。
現在の本堂は、文化12(1815)年に建てられ、堂内には行円上人作と伝える本尊の千手観音像が祀られています。行円上人は賀茂(加茂)社の領地に生えたという不思議な槻木(つきのき:ケヤキ)から刻んだものとされ、境内に建つ加茂明神石塔が賀茂社とのつながりを伝えています。ご本尊は、以前に間近で参拝をしたことがありますが、腕の部分に手の彫刻が無数にあるという、他では目にしたことがない造形でした。革堂は都七福神巡りの「寿老人」を祀る寺としても知られ、様々な神仏が祀られていますので、ぜひじっくりとご参拝下さい。
さて、現在境内ではフジバカマの鉢植えが400鉢も並び、甘い香りが漂っています。2017年から毎年開催されている藤袴祭に伴うもので、寺町通界隈にはフジバカマの鉢植えが各所で見られます。10月11日~14日にはスタンプラリーや茶会などのイベントも行われています。この機会に足を延ばして頂くのもおすすめです。香りに誘われて蝶が舞い、また革堂では夕方には猫が出てきていました。猫とフジバカマという取り合わせもこちらならではかもしれません。また、12日~14日の8時半~16時まで本尊の特別ご開帳が行われています(500円、12日は台風の影響に注意)。
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粟田祭の夜渡り神事!華やかに巡行する”京のねぶた”と夜の祇園散歩 - 【受付中!】10月16日(水)11時30分~15時頃
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ガイドのご紹介
吉村 晋弥(よしむら しんや)
第15回・第14回京都検定1級(合格率2.2%)に2年連続の最高得点で合格。気象予報士として10年以上。京都検定マイスター。これまでに訪れた京都の観光スポットは400カ所以上。自らの足で見て回ったものを紹介し、歴史だけでなくその日の天気も解説する。毎月第2水曜日にはKBS京都ラジオ「笑福亭晃瓶のほっかほかラジオ」に出演中。「京ごよみ手帳」監修。特技はお箏の演奏。