赤穂義士が討ち入りした日にあたる12月14日に、法住寺で義士会法要が行われ、太夫道中も披露されました。
法住寺の義士会法要は、大石内蔵助が討ち入りの前に法住寺の身代わり不動明王に祈願をしたことが縁で行われています。法住寺付近から少し南の山を越えれば大石内蔵助が居を構えていた岩屋寺付近へと繋がり、内蔵助は島原の遊郭へと足を運ぶ道すがら、法住寺のお不動さんに祈願をしたそうです。寺には四十七士の木像が江戸時代の終わりころから明治にかけて奉納されています。
法住寺の太夫道中は2010年から復活し、前の道路まで出てしばし門前を歩きました。太夫道中は舞妓さんと異なって目にする機会は少ないものですが、年に何回かチャンスがありますので、日時さえ押さえておけば見られる機会もあります。太夫道中はその名の通り、島原の太夫さんが置屋から揚屋へと移動する道中を表しており、現在では諸々の行事に参列する場面として再現されています。
島原は現在残る京都の五花街(ごかがい)には含まれていませんが、今も数名の太夫さんがおられます。かつて太夫の身分は10万石の大名と同様の正五位とされ、御所へ上ることも許されていたそう。日本舞踊や茶道などなどのあらゆる「芸」に秀でていないと太夫を名乗ることはできませんでした。太夫は、美貌だけではなく優れた技能・教養を持つ芸妓の最高位で「芸」でおもてなしをしたのです。その独特の歩き方は「内八文字」といわれており、三本歯の高下駄を履いてつま先を内に向け、足を踏み出します。着物の重さは30kgとも45kgともいわれ、普通に歩くことが難しいため考えだされたのだとか。なお、道中には紋の入った傘も欠かせません。
太夫さんの所作は非常に優雅で、じっと見ていると時代をさかのぼっているかのような雰囲気があります。法住寺では毎年菊川太夫さんが来られます。門前は一般の道路で時おり車が通ることもあるため、撮影は道路を挟んだ歩道からになります。2011年から見に来ていますが、年々人手も増えているように感じます。安全に気を付けてご覧ください。
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ガイドのご紹介
吉村 晋弥(よしむら しんや)
気象予報士として10年以上。第5回京都検定にて回の最年少で1級に合格。これまでに訪れた京都の観光スポットは400カ所以上。2011年秋は京都の紅葉約250カ所、2012年春は京都の桜約200カ所を巡る。自らの足で見て回ったものを紹介し、歴史だけでなくその日の天気も解説する。毎月第2水曜日にはKBS京都ラジオ「笑福亭晃瓶のほっかほかラジオ」に出演中。「京ごよみ手帳 2016」監修。特技はお箏の演奏。