六波羅蜜寺 「大」の迎え火


大文字(だいもんじ)と言えば8月16日の五山の送り火。先祖のお精霊が迷わずにあの世へと帰れるように灯す、大きな明かりです。しかし、先祖を迎える「大」の「迎え火」が六波羅蜜寺で灯されています。

今朝の京都は涼しい朝でした。最低気温は21.4℃と9月上旬並み。立秋を過ぎたため、7月上旬並みではなく「9月上旬並み」と季節を進めて表現します。やはり立秋を過ぎて「秋」を感じられることも増えてきましたね。ただ、そんな小さな秋もつかの間。また蒸し暑い日が戻ってきそうです。夏は後半戦に入ったばかり。熱中症には十分ご注意ください。

さて、「迎え」と「送り」とは一対のもの。六道珍皇寺の「迎え鐘」に対して矢田寺の「送り鐘」があり、千本閻魔堂では、同じ鐘ですが15日までは迎え鐘、16日は送り鐘に変わります。つまり五山の送り火に「大」があれば、それに対する迎え火に「大」があっても不自然ではないでしょう。六波羅蜜寺の萬燈会では「大」の形に灯された火が本堂前に並び、20時からの法要では本堂内でも、「大」の形の蜀台(盃)に火が灯され、堂内は大勢の方で賑わいます。広い意味で、京都のお精霊は大の字で迎えられ大の字で送られるのかもしれません。ただ、迎え日は玄関先で焚く家も多く、また五山の送り火は、あくまで管轄する地元集落の範囲内の送り火であり、京都全体のものではないとする狭義の説もあります。

六波羅蜜寺の萬燈会での法要は、平安時代の空也上人以来のものとされ、一説には送り火の「大」は六波羅蜜寺の「大」を原型としているともされ、大の文字は人間の形、いわゆる人形を表しているとする説もあります。ただ、六波羅蜜寺ホームページによると「大」は密教の五大思想である「地・水・火・風・空」の5大の「大」であり、「すべての実相は5大より生じ5大に帰す」ことから「大」の明かりが灯されているそうです。

また、六波羅蜜寺にも迎え鐘があり、六道珍皇寺と同じく撞く人の列が続きます。こちらの鐘は地下に埋まっているという面白いもの。お寺の看板によると、日本で最初の地下の釣鐘だそうです。こちらも鐘は直接は見えず、綱を引くことで鐘を撞くことが出来ます。六波羅蜜寺の萬燈会は明日10日まで、六道まいりや五条坂の陶器まつりなども同じく10日までです。

ガイドのご紹介
吉村 晋弥(よしむら しんや)

吉村 晋弥気象予報士として10年目。第5回京都検定にて回の最年少で1級に合格。これまでに訪れた京都の観光スポットは400カ所以上。自らの足で見て回ったものを紹介し、歴史だけでなくその日の天気も解説する。特技はお箏の演奏。

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