今年の元日に巡った京都十六社朱印めぐり。今回は後半です。
さて、わら天神から西大路通を南下して向かった8か所めは、西院春日神社。病気平癒・厄除けのご利益で、古くから皇室の崇敬も篤い神社です。平安時代の淳和天皇の娘が天然痘(疱瘡)を患った際に祈願をかけると、本殿前の石に疱瘡が生じて病がよくなったといわれています。
9か所目は最も遠い長岡天満宮。ここだけはあまりに離れているので西院駅から阪急電車で向かいました。長岡天満宮は、人気のある神社で、例年ほどではなかったものの賑わっていました。学問の神様ということで、受験生と思しき方々も多数見かけました。参拝と御朱印をいただいて、西院へと戻ります。
10か所目は六孫王神社。祀られているのは清和源氏の祖である源経基ということで、出世開運・家運隆昌のご利益です。普段から静かな神社ですが、地元の方がちらほらと参拝に訪れていました。
11か所目は吉祥院天満宮。再び天神さんです。面白いのは能力開発のご利益で、お守りもあります。また、境内には道真の祖父が遣唐使として海を渡った際に霊験を得て祀ったという吉祥天も祀られています。地元の信仰が厚く、例年に近い参拝者でした。目を引いたのは金のくぐり牛。個性的な神社ですが、今年も際立っていました。境内では見事な葉牡丹も展示されて、毎年干支の置物が可愛らしいです。
12か所目は御香宮神社。ご利益は安産・厄除け・病気平癒・家内安全などです。神功皇后をはじめ複数の神様が祀られており、伏見では中心的な神社です。境内は例年よりは少なかったものの、参拝の長い列が伸びていました。境内奥では白梅がほころんで目を引きました。
13か所目は藤森神社。勝運と馬の神様ということで、競馬関係者の崇敬も厚い神社です。5月5日の駆馬神事ではアクロバティックに馬に乗る様子も見ることができます。勝負のご利益は、ここが菖蒲の節句発祥の地であることから転じて信じられるようになりました。創建はこの十六社めぐりの中でも最も古いと思われ、平安遷都以前からの信仰の地です。こちらも地元の信仰が厚く、長蛇の列ではありましたが、例年のような太鼓の奉納などはありませんでした。
14か所目は新熊野神社です。新熊野と書いて「いまくまの」と読みます。京都三熊野の一つで、十六社朱印めぐりにはこの三社が全て含まれています。ご利益は健康長寿・病魔退散で、特にお腹守護とされています。お腹守護は、境内にある創建以来の大きな楠に由来し、植えた後白河上皇のお腹の病を治したと伝わります。お腹守護のお願いは楠にされるとよいでしょう。また、創建時には清盛が熊野から土砂を運んだといわれています。拝殿の上にある神の遣いである阿吽のカラスの像にも目を向けてみてください。
15か所目は豊国神社。ご存じ、豊臣秀吉が祀られています。ということで、ご利益は出世開運ですが、他にも良縁成就や商売繁盛も掲げられており、秀吉の人となりからその由来を想像してみるのも面白いかもしれません。元日は、唐門が開放されており、普段よりも近づいて直接本殿を拝むことができました。夕方だったこともあってか、例年のような混雑はありませんでした。境内では手水の瓢箪や個性的な絵馬、京都美術工芸大学の学生さん制作の赤べこの像が目を引きました。
最後の16か所目は市比賣(いちひめ)神社。女性の厄除けのご利益で知られ、ご祭神は宗像三女神と他二柱で、全て女性神です。元は平安京の市場(東市)の神として祀られていたため、神社に「市」の名が残されています。こちらでは、境内奥の「天真名井(あめのまない)」も忘れずに見に行ってみて下さい。願い事が一つだけ叶う「一願成就」の井戸と信じられ、それぞれの願い事が書かれた可愛らしい姫だるまもたくさん置かれています。なんとか17時までに到着することができました(この後、六波羅蜜寺にも参拝しました)。今年も無事に元日に達成することができ、巡拝成就印と記念品の干支の置物を頂きました。各所で新型コロナウイルスが収束に向かいことを祈り、心身の無事を祈願してきました。仕事があることに感謝しつつ、何とか今年も乗り切っていきたいと思います。
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吉村 晋弥(よしむら しんや)
京都検定1級に3年連続最高得点で合格(第14回~第16回、第14回合格率2.2%)、「京都検定マイスター」。気象予報士として10年以上。これまでに訪れた京都の観光スポットは400カ所以上。自らの足で見て回ったものを紹介し、歴史だけでなくその日の天気も解説する。毎月第2水曜日にはKBS京都ラジオ「笑福亭晃瓶のほっかほかラジオ」に出演中。「京ごよみ手帳 2020」監修。特技はお箏の演奏。
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