12月23日・24日に、鈴虫寺で「納めの地蔵」として大根焚きが行われました。
京都に数ある社寺の中でも、知名度の高いお寺の一つが鈴虫寺でしょう。四季を選ばず美しい音色を響かせる鈴虫ももちろん魅力的ですが、何より一人一人の枕元に足を運んで下さる「幸福地蔵」のご利益を求めて訪れる方が多いお寺さんです。鈴虫寺は正式には華厳寺という臨済宗のお寺で、江戸時代の1723年に華厳宗の再興に力を尽くした鳳潭(ほうたん)上人によって開かれました。その後、明治の世に変わる1868年に臨済宗に改まっています。
鈴虫寺の名前の由来ともなっている鈴虫の音色が響くようになったのは、昭和の戦後のこと。住職が座禅中に鈴虫の音色を聴いたことが悟りのきっかけとなったそう。以来、鈴虫が年中鳴き続けるように温度調節などに工夫を重ね、やがて鈴虫の寺として全国に知られるようになっていきました。鈴虫の数は約5000匹とのことです。
「幸福地蔵」は山門の脇に立っています。このお地蔵様は足にわらじを履いた珍しいお姿で、一人一人の家まで願い事を叶えに来て下さるとして、篤い信仰を集めています。拝観では、住所と氏名を念じてお願いをするようにと教えて頂けます。かなえて下さる願いは一つだけですので、欲張らないようにご注意を。お寺の方の話の面白さも、鈴虫寺の魅力の一つですね。なお幸福地蔵のみでしたら、拝観料は不要で参拝することができます。
地蔵菩薩の縁日は毎月24日で、京都では8月の地蔵盆や六地蔵めぐりが8月24日頃に行われます。鈴虫寺では、最後の縁日である12月24日と前日の23日に「納めの地蔵」として大根焚きが行われ、無料で振る舞われています(日程は年により変更の場合あり)。お地蔵さんに感謝の気持ちを伝え、来年の無病息災・恋愛成就などを祈る法要も24日11時から行われています。世間では12月24日といえばクリスマスイブ。その日に大根焚きを頂くのも和風でちょっと面白いですね。鈴虫寺も空いていて、ホクホクの大根が体を温めてくれました。24日は大根が無くなり次第終了です。今回は散策で拝観も含めて訪れました。軽妙な説法は何度お聞きしても面白いです。多くの方にご参加いただき、ありがとうございました。皆様も機会があれば訪れてみて下さい。
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ガイドのご紹介
吉村 晋弥(よしむら しんや)
気象予報士として10年以上。第5回京都検定にて回の最年少で1級に合格。8年ぶりに受験した第13回京都検定で再度1級に合格し「京都検定マイスター」となる。これまでに訪れた京都の観光スポットは400カ所以上。自らの足で見て回ったものを紹介し、歴史だけでなくその日の天気も解説する。毎月第2水曜日にはKBS京都ラジオ「笑福亭晃瓶のほっかほかラジオ」に出演中。「京ごよみ手帳 2018」監修。特技はお箏の演奏。