先日、まいまい京都さんのご案内で洛西竹林公園を訪れました。竹が美しい季節です。
10月に入っていますが、先日中秋の名月があったように旧暦では8月。別名「竹の春」と呼ばれる時期でもあり、秋が深まりゆく今時分に、竹は盛んに新葉を出します。若竹が育つ一方でまだ日光は十分にあり、竹は春を謳歌しているような瑞々しい緑を見せてくれます。反対に「竹の秋」は旧暦の3月の別名で、タケノコに栄養を取られてしまう分、竹の葉は茶色くなり散っていきます。竹は、春と秋が逆転しているかのような面白い植物です。京都は嵯峨野をはじめ各地で美しい竹林を目にできますが、京都市と向日市の境目に沿ってある洛西竹林公園や竹の径(みち)も、たいへんおすすめです。
洛西竹林公園は、洛西ニュータウンの開発に伴ってかつての竹林が姿を消す中、竹林を積極的に保存する目的で作られました。植物資源としての竹の生態的な特徴が観察できるよう、様々な種類の竹が植えられ、珍しい竹の花が咲く期間を計るための竹林などもあります。竹の資料館では、竹についての様々な展示があって、たいへん勉強になります。
こうした竹や笹に関する公園や資料館は全国的にも珍しく、竹について知りたいことがあれば、洛西竹林公園に来ればたいていのことは分かりそうです。また、京の伝統工芸品としても名高い竹製品も数多く展示・販売されています。茶室や和風庭園もあって、有料で使用することもできます。そして、高低差のあるお庭・生体園は、美しい竹が整備され、その種類は110種類にも及ぶそう。竹林の美しさを、様々な角度で感じられる公園となっています。
洛西は、タケノコの産地としても知られ、美しく整備された竹林が向日市から長岡京市にかけて見られます。この竹林の景観を保全するため、2000年頃から環境整備(放置竹林対策・不法投棄予防)を行って、向日市特産の孟宗竹を使って整備されてきたのが、全長1.8kmにも及ぶ「竹の径(みち)」です。洛西竹林公園の前から続いており、併せて散策していただくのがおすすめ。この道を歩いていると本当に気持ちがよく、先の見えない竹林の間を抜けて非日常の空間へと誘われていくよう。CMの撮影にも使われています。
竹の径には、各種の竹垣もあって趣を添え、まさに「竹の春」を感じるにはうってつけの場所です。竹林公園や竹の径への交通手段は、自家用車か、阪急桂駅から市バスで南福西町で降りて歩く方法があります。今年は10月21日・22日に恒例の「竹の径 かぐやの夕べ」があり、燈籠などで彩られます。この日には東向日駅や洛西口からの送迎バスも出ますので、機会がありましたら足を延ばしてみてください。
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ガイドのご紹介
吉村 晋弥(よしむら しんや)
気象予報士として10年以上。第5回京都検定にて回の最年少で1級に合格。8年ぶりに受験した第13回京都検定で再度1級に合格し「京都検定マイスター」となる。これまでに訪れた京都の観光スポットは400カ所以上。自らの足で見て回ったものを紹介し、歴史だけでなくその日の天気も解説する。毎月第2水曜日にはKBS京都ラジオ「笑福亭晃瓶のほっかほかラジオ」に出演中。「京ごよみ手帳 2018」監修。特技はお箏の演奏。