嵯峨野の清凉寺では、10日に夕霧太夫を供養する夕霧祭が行われ、島原太夫が登場しました。
夕霧祭の夕霧とは、吉野太夫と並んで寛永三名妓の一人とされる夕霧太夫のことです。源氏物語では光源氏と葵の上との間に子どもの「夕霧」がいて巻名のひとつにもなっていますので、夕霧太夫はまさに源氏名となるのでしょう。夕霧祭は源氏物語の夕霧を偲ぶのではなく、あくまで夕霧太夫を偲ぶ行事ですが、清凉寺のあった場所に別荘・栖霞観(せいかかん)を構えた源融(みなもとのとおる)は光源氏のモデルともいわれますので、話がややこしくなります。
夕霧太夫は、江戸時代の初めに清凉寺の辺り(中院)に生まれ、島原の太夫となったと伝わります。やがて所属する店が大阪へと移転したのに伴って自身も移り、そこで若くして亡くなりました。享年は27歳といわれています。容姿が美しく、芸事にも秀でた名妓であったため、大阪中がその死を悼んだそう。やがて時代が下り、昭和の世になって初代中村鴈治郎の娘である中村芳子が二代目の夕霧太夫を襲名し、はじめたのが清凉寺での夕霧供養。彼女の死後も現役の太夫に引き継がれて供養祭が毎年取り行われています。境内には中村芳子の「あでやかに 太夫となりて我死なん 六十路過ぎにし 霧はかなくも」の歌碑も残されています。
今年は薄雲太夫さんのご奉仕で、法要が始まる前に太夫さんは拝観エリアの渡り廊下を通って本堂へと向かい、その際に弁天堂に一礼をして行かれました。今年は私は見ていないのですが、例年通りであれば本堂では法要に続いて舞が奉納され、その後本堂から出た太夫さんによる太夫道中が行われます。見学者も多く、なかなかの状況ですが、三本歯の高下駄を履いてつま先を内に向け、足を踏み出す「内八文字」といわれる独特の歩き方でゆっくりと進んでいかれます。この日は「嵐山もみじ祭」もあり、太夫さんは午後にはそちらで茶席も担当されておられます。太夫さんをはじめ、関係者の皆様もお疲れ様でした。
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ガイドのご紹介
吉村 晋弥(よしむら しんや)
第15回・第14回京都検定1級(合格率2.2%)に2年連続の最高得点で合格。気象予報士として10年以上。京都検定マイスター。これまでに訪れた京都の観光スポットは400カ所以上。自らの足で見て回ったものを紹介し、歴史だけでなくその日の天気も解説する。毎月第2水曜日にはKBS京都ラジオ「笑福亭晃瓶のほっかほかラジオ」に出演中。「京ごよみ手帳」監修。特技はお箏の演奏。