旧暦の8月は、別名「竹の春」と呼ばれる時期でもあり、次第に秋らしくなってくる今時分に、竹は盛んに新葉を出します。若竹が育つ一方でまだ日光は十分にあり、竹は春を謳歌しているような瑞々しい緑を見せてくれるのです。反対に「竹の秋」は旧暦の3月の別名で、タケノコに栄養を取られてしまう分、竹の葉は茶色くなり散っていきます。竹は、春と秋が逆転しているかのような面白い植物です。京都は嵯峨野をはじめ各地で美しい竹林を目にできますが、京都市と向日市の境目に沿ってある洛西竹林公園や竹の径(みち)もおすすめです。
洛西竹林公園は、洛西ニュータウンの開発に伴ってかつての竹林が姿を消す中、竹林を積極的に保存する目的で作られました。植物資源としての竹の生態的な特徴が観察できるよう、様々な種類の竹が植えられ、珍しい竹の花が咲く期間を計るための竹林などもあります。竹の資料館では、竹についての様々な展示があって、非常に勉強になります。竹について知りたいことがあれば、ここに来ればたいていのことは分かりそうです。また、伝統工芸品としても名高い竹製品も数多く展示・販売されています。茶室や和風庭園もあって、有料で使用することもできます。そして、高低差のあるお庭・生体園は、美しい竹が整備され、その種類は110種類にも及ぶそう。竹林の美しさを、様々な角度で感じられる公園となっています。
洛西はタケノコの産地としても知られ、美しく整備された竹林が向日市から長岡京市にかけて見られます。この竹林の景観を保全するため、2000年頃から環境整備(放置竹林対策・不法投棄予防)を行って、向日市特産の孟宗竹を使って整備されてきたのが、全長1.8kmにも及ぶ「竹の径(みち)」です。竹の径は、洛西竹林公園の目の前にありながら、京都市と向日市との境界の道ということで主に向日市にあり、この道を歩いていると本当に気持ちがよく、先の見えない竹林の間を抜けて非日常の空間へと誘われていくようです。竹の径には、各種の竹垣もあって趣を添えています。まさに「竹の春」を感じるにはうってつけの場所です。
竹の径は、これほどの美しさの割りに高台にあるその行き難さからか、休日の昼間でも人通りは非常に少ないです。そこでよく使われるのが、各種のロケ。自動車のCMでも竹林が絡むシーンで使われており、最近ではタントカスタムのCMで目にしました。さらにはサスペンスや時代劇などドラマでも、京都らしい風景として登場するそうです。美しい竹林は、地元の皆様のたゆまぬ努力があってこそ保たれるもの。今後も、向日市の地域振興に一役買ってほしいですね。今回ご紹介した洛西竹林公園と竹の径へは、17日(土)の、まいまい京都さんの散策で訪れます。まだ少し空きがありますので、お気軽にご参加ください。
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ガイドのご紹介
吉村 晋弥(よしむら しんや)
気象予報士として10年以上。第5回京都検定にて回の最年少で1級に合格。これまでに訪れた京都の観光スポットは400カ所以上。2011年秋は京都の紅葉約250カ所、2012年春は京都の桜約200カ所を巡る。自らの足で見て回ったものを紹介し、歴史だけでなくその日の天気も解説する。毎月第2水曜日にはKBS京都ラジオ「笑福亭晃瓶のほっかほかラジオ」に出演中。「京ごよみ手帳 2016」監修。特技はお箏の演奏。