仁和寺の境内北西にある御影堂。御所の清涼殿の部材を採用して建てられたお堂で、昨年秋に屋根の吹き替えが完了しています。
仁和寺は世界遺産のお寺として知られ、平安時代に光孝天皇によって建て始められました。しかし天皇は完成を見ることなく亡くなり、その子の宇多法皇によって仁和4(888)年に完成。京都でも数少ない元号を冠するお寺で、境内では京都三大門にも数えられる立派な二王門や、優美な五重塔、御所の紫宸殿を移した国宝の金堂が印象的です。春には京都の桜を締めくくる遅咲きの御室桜が咲くことでも有名です。
境内の北西にある御影堂は、江戸時代初期の慶長期に建てられた御所の清涼殿が寛永年間に建て替えられる際に、古材を拝領して建てられた宝形造の仏殿です。応時と形は変わっていますが、部材の再利用という意味で貴重な建物。内部には、弘法大師・空海と宇多法皇、仁和寺第2世の性信(しょうしん)親王の像が安置されています。2016年秋に、檜皮葺の屋根の吹き替えが終了し、美しい外観を目にすることができるようになりました。
仏殿ではありながらも、天皇の日常の住まいである清涼殿の古材を使っているとあって、扉や蔀戸、それらに付随する金具などは、やはり御所の雅な雰囲気を感じさせてくれます。蔀戸につけられた蝉の金具も清涼殿からのものだそう。仁和寺の金堂は瓦葺きですが、御影堂は形は変わりながらも檜皮葺とあって、やはり高貴な雰囲気があります。仁和寺の境内まで行かれたら、足を延ばしてみてください。
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ガイドのご紹介
吉村 晋弥(よしむら しんや)
気象予報士として10年以上。第5回京都検定にて回の最年少で1級に合格。8年ぶりに受験した第13回京都検定で再度1級に合格し「京都検定マイスター」となる。これまでに訪れた京都の観光スポットは400カ所以上。自らの足で見て回ったものを紹介し、歴史だけでなくその日の天気も解説する。毎月第2水曜日にはKBS京都ラジオ「笑福亭晃瓶のほっかほかラジオ」に出演中。「京ごよみ手帳 2017」監修。特技はお箏の演奏。