京都市街地のみならず、その西にある亀岡市にも紅葉名所が多数あります。鍬山神社は、亀岡でもまず最初に名前が上がる紅葉名所ではないでしょうか。駅から歩いて行けないこともないですが、やはりお車を推奨します。神社は、10月に行われる亀岡祭の主催神社でもあり、亀岡開拓の神である大己貴神(おおなむちのかみ)を祀ります。
かつて亀岡盆地は丹(に)の海と呼ばれる赤い湖で、出雲の神である大己貴神が中心となって他の神々とともに1隻の船に乗り、鍬や鋤(すき)を用いて浮田峡(うけたのはざま)を開削して水を山城国へと流し、肥沃な土地を出現させたと伝わっています。この浮田峡が現在の保津川とされ、険しい山間を流れるその様子は、まさに神のなせる技のようにも思えるのが面白いところでしょう。
このときに使った鍬が山のようになったので、大己貴神の神徳をたたえて社名にしたとされます。また境内には八幡神もお祀りされており、亀岡祭では大己貴神の神使のウサギと、八幡神の神使のハトが各所で見られます。さて、境内は秋には色鮮やかな紅葉に包まれる紅葉名所としても名高く、ライトアップも行われています。
今年は日が暮れる直前に訪れましたが、結構人がいました。ライトアップは入れ替え制ではないため、そのままご覧になる方もおられるようです。昨年よりも紅葉のペースが速く、見頃の後半といった印象。それにしても亀岡の紅葉はどこもレベルが高く、たいへん美しいです。霧の多い気候が発色にも関係しているのかもしれません。今週いっぱいは見ごろが続くと思いますので、お車のある方は足を延ばしてみるのもおすすめです。
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ガイドのご紹介
吉村 晋弥(よしむら しんや)
気象予報士として10年以上。第5回京都検定にて回の最年少で1級に合格。8年ぶりに受験した第13回京都検定で再度1級に合格し「京都検定マイスター」となる。これまでに訪れた京都の観光スポットは400カ所以上。自らの足で見て回ったものを紹介し、歴史だけでなくその日の天気も解説する。毎月第2水曜日にはKBS京都ラジオ「笑福亭晃瓶のほっかほかラジオ」に出演中。「京ごよみ手帳 2018」監修。特技はお箏の演奏。