京都市の右京区山間部にある黒田百年桜。25日に訪れると満開でした。
黒田百年桜は京都市右京区京北町の山間部に咲く遅咲きの桜です。常照皇寺から国道477号を東へ行くと道路に面して春日神社があり、その隣に咲いています。無料の駐車場もありますので、お車の方は常照皇寺と合わせて訪れてみるのがおすすめです。25日はちょうど満開でした。
この桜が植わる右京区京北町宮地区は、近世以前は黒田宮村と称していました。その氏神である春日神社の脇にはかつて桜の大木がありましたが、明治6年の台風により倒れ、これを惜しんだ人々が跡に八重桜を植えました。ところが通常の桜と思って植えたものが、実は山桜の突然変異で一重と八重の混じり咲く珍しい種とわかり、京の桜守として知られる15代目・佐野藤右衛門さんにより昭和42年に「百年桜」と命名されました。名前の由来は、当時で樹齢はおよそ100年であったことと、明治百年にあたることによるそうです。以上は、右京区役所のホームページを参考にしましたが、現地の案内板では樹齢は300余年とされており、いずれが正しいかはよくわかりません。
一重と八重が混じる品種といえば、京都御所の宜秋門の向かいに植わる「御車返しの桜」があります。黒田百年桜も確かに一重と八重があり不思議です。花は優しいピンク色でとても綺麗でした。私が訪れたのが夕方だっため、地元の方以外は人がおらず、静かに満開の桜を楽しませていただきました。
突然変異のため種子はできないそうですが、佐野藤右衛門親子(15代目・16代目)が、約30年もの苦労の末に苗づくりに成功し、昭和58年に造幣局の桜の通り抜け百年を記念して2本の若木が造幣局に植えられたそうです。貴重な桜が受け継がれていくのは素晴らしいことです。黒田百年桜は今週末までは見られるのではないでしょうか。また、いつか訪れてみたいと思う桜でした。
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ガイドのご紹介
吉村 晋弥(よしむら しんや)
気象予報士として10年以上。第5回京都検定にて回の最年少で1級に合格。8年ぶりに受験した第13回京都検定で再度1級に合格し「京都検定マイスター」となる。これまでに訪れた京都の観光スポットは400カ所以上。自らの足で見て回ったものを紹介し、歴史だけでなくその日の天気も解説する。毎月第2水曜日にはKBS京都ラジオ「笑福亭晃瓶のほっかほかラジオ」に出演中。「京ごよみ手帳 2017」監修。特技はお箏の演奏。