善峯寺からの初日の出


2013年を迎えました。本年も京都旅屋をよろしくお願いいたします。今年は、ほぼ快晴の空が予想されたため、思い切って西山の善峯寺へと登り、初日の出を拝んできました。

2012年の大晦日から2013年の年明けも、私は京都の街を駆け回っていました。大晦日と節分は京都中の社寺で行事が目白押しのため、資料集めの意味では非常に忙しい日でもあります。昨年の大晦日は東山の社寺を回ったので、今回は神泉苑の恵方社の向きを変える儀式と、西陣界隈の除夜の鐘や水行などを見てきました。また、近日中に紹介予定です。

さて、昨年は京都タワーから初日の出を望みましたが、今年は修理中のため見ることができません。京都は山に囲まれているため、有名な初日の出スポットは限られているので、残念ですね。数少ない初日の出スポットの中でも、西山の善峯寺は若者にも人気の場所です。映画「SAYURI」での、東山の夜明けシーンはこの善峯寺からの光景。年に一度、元旦に限って、朝6時半に開門となります。善峯寺は険しい西山の山中にあり、京都でも指折りの絶景スポット。その分、交通手段が限られており、日中はバスがありますが、元日の朝に善峯寺にいるためには、一般的には自家用車が無いと難しいでしょう。阪急電車やJRは例年終日運行しますので、西向日駅などからタクシーで行く方法も無きにしも非ずです(私は、例のごとく自転車で登りましたが、おススメはしません)。

こうした交通事情から、善峯寺への道は非常に多くの車が上り、駐車場は大混雑。6時半の開門からほどなくして「満車」とのアナウンスも境内に流れて来ました。遅くとも6時頃には到着する心づもりで行かれる方がよいでしょう。加えて、今年の元日は、予想最低気温がマイナス4℃と見込まれ、実際にはそこまで下がらなかったものの、路面は山からの湧水で一部が凍結していました。また、駐車場付近は坂もかなり急なため、タイヤが空転する車を何台も見かけ、横を通るのが怖いほど。運転中も車から降りても、十分にお気を付け下さい。

私は6時半の開門の少し前に到着。すでに山門から駐車場には長い列が伸びていました。予想通り若者が多いので、雰囲気は騒がしめ。静かに初日の出を眺めたい方は、境内でも場所を選んだほうがよいかもしれません。境内は高低差が大きく、釈迦堂より上まで行けば急激に眺望がよくなります。最も高い薬師堂付近や、座って眺められる「けいしょう殿」は、真っ先に埋まっていきます。ただ、境内は広いため、単に初日の出を見るためなら十分に場所はありますよ。東山から太陽が顔を出すのは、07時04分頃。その時刻が近付くにつれてだんだんと空が明るくなり、遠くの山にたなびく低い雲が赤みを増してきました。

今年は低い雲が邪魔をして、綺麗な初日の出とは行きませんでしたが、それでも圧倒的な眺望のかなたに丸い太陽が輝きを強めていく様子は感動的で、眺めている多くの方が携帯などのカメラを構えて写真を撮っている様も印象的でした。元旦にわざわざ足を運ぶ価値が十分にある光景でした。やがて、日差しは境内を照らす力を強め、清々しい朝へと移り変わっていきました。

今回も、隣の三鈷寺へと足を延ばしてみました。三鈷寺へは善峯寺のゲートをくぐっていったん外に出ないと行けませんが、インターホンで善峯寺の寺務所に連絡をすれば戻って来れますので、是非行ってみて下さい。善峯寺をしのぐと言っても過言ではないほどの絶景が眼下に広がります。そして、天空にそびえ立つ立派な銀杏が目を引きます。私はこの木のファンで、善峯寺に来るたびにこの銀杏を眺めにやってきます。真っ青な空にそびえる銀杏も本当に素晴らしい。元旦に来ることができ、しんどい思いをした甲斐がありました(笑)

さて、善峯寺を後にした私は、松尾・嵐山・嵯峨野の初詣の様子も見てきました。こちらもまた後日ご紹介したいと思います。絶景の初日の出とともに始まった2013年。この景色のように見通し良く、進んで行けたらよいですね。本年も京都旅屋をよろしくお願いいたします。なお、初日の出とお箏の「春の海」とを合わせた動画を作ってみました。朝日が輝きを増していく様をお楽しみください。

ガイドのご紹介
吉村 晋弥(よしむら しんや)

吉村 晋弥気象予報士として10年。第5回京都検定にて回の最年少で1級に合格。これまでに訪れた京都の観光スポットは400カ所以上。2011年秋は京都の紅葉約250カ所、2012年春は京都の桜約200カ所を巡る。自らの足で見て回ったものを紹介し、歴史だけでなくその日の天気も解説する。特技はお箏の演奏。

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