京都の大根炊きで千本釈迦堂と並んで有名なのが、了徳寺の大根焚きです。了徳寺は別名「大根焚寺」とも呼ばれるほど、この2日間は大賑わいとなります。京都検定で覚えたという方も多いかもしれません。鎌倉時代の建長4(1252)年、親鸞(しんらん)上人が愛宕山中にある月輪寺から帰途、鳴滝の地で説法をした際、感動した里の人が大根を焚いてもてなしました。
これに感謝した親鸞聖人は、ススキの穂を束ねて筆にすると「帰命尽十方無碍光如来(きみょうじんじっぽうむげきょうにょらい:阿弥陀如来のこと)」の十字を書いて里人にお礼として渡しました。のちの時代に訪れた蓮如上人も南無阿弥陀仏の名号を加えたと伝わり、里人は両上人を偲んで、了徳寺を創建したのです。現在も境内には「すすき塚」が残り、親鸞聖人ゆかりのすすきが植えられていますが、「大根焚き」はこうした故事にちなむ行事として行われています。
9日・10日の境内には、亀岡産の青首大根が並び、大量に刻まれて樽に入っている様子が象徴的。団体客も含めて小さな境内が人でごったがえし、地元の人総出で大根を次々に焚いて供給をしています。さすがに大根焚寺の名を持つお寺ですね。今回は私も大根をいただきました。今年は料金が100円上がって1000円、ご飯も付いた「おとき」は1600円となっていました。
やはりホクホクの大根はおいしいです。12月の大根焚きをいただかないと冬が来ないという方もおられることでしょう。京都では、他のお寺でも大根焚きがあり、例えば今月下旬には鈴虫寺や蛸薬師堂でもあります。機会がありましたら、大根をいただいてみてください。
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ガイドのご紹介
吉村 晋弥(よしむら しんや)
気象予報士として10年以上。第5回京都検定にて回の最年少で1級に合格。これまでに訪れた京都の観光スポットは400カ所以上。2011年秋は京都の紅葉約250カ所、2012年春は京都の桜約200カ所を巡る。自らの足で見て回ったものを紹介し、歴史だけでなくその日の天気も解説する。毎月第2水曜日にはKBS京都ラジオ「笑福亭晃瓶のほっかほかラジオ」に出演中。特技はお箏の演奏。