ちびっこ明神太鼓 愛宕念仏寺 天狗の宴(さかもり)にて

愛宕念仏寺 ちびっこ明神太鼓
11月10日に愛宕念仏寺天狗の宴(さかもり)が行われ、福井県越前町から来られたちびっこ明神太鼓が奉納されました。

愛宕念仏寺愛宕念仏寺(おたぎねんぶつじ)は、奥嵯峨の最奥にあるお寺で、愛宕神社の一の鳥居から先に進み、清滝に向かうトンネルの手前にあります。嵐山から歩くにはなかなかの距離があるので、レンタサイクルかバスで行くのもよいでしょう。境内は、羅漢像で知られ、総数1200躯(く:像の単位)もの石像が境内一円に並んでいます。釈迦の入滅時に集まった500羅漢が有名ですが、その100年後の命日には700人の羅漢が集まったとされ、こちらでは合計1200躯となっています。石像は昭和56(1981)年に全国から制作者を募って作り始められ、平成3(1991)年に完成しました。

愛宕念仏寺愛宕念仏寺は、現在は愛宕山にほど近い場所にありますが、大正11(1922)年までは東山の建仁寺の南、六波羅蜜寺の北付近に境内地がありました。創建は奈良時代という古寺です。愛宕念仏寺の「愛宕」は愛宕山から来ているのではなく、現在の京都市の東半分をかつて占めた古い郡名「愛宕(おたぎ)郡」に由来します。ですので読み方も「あたご」ではなく「おたぎ」なのです。

愛宕念仏寺そして「念仏寺」という名も、かつての地が、古代の葬送地「鳥辺野」にあったところから来ています。対する嵯峨野には、化野(あだしの)念仏寺があり、もともとの由緒が異なる二つの念仏寺が、現在は近くにあるのも歴史の面白いところでしょう。愛宕念仏寺は現在地に移ってきた後も順調ではなく、一時は復興に失敗して荒廃しましたが、仏像彫刻で著名な西村公朝が住職となり再度復興につとめ、千二百羅漢を発案するなどして、復興にこぎつけています。

愛宕念仏寺 ちびっこ明神太鼓本堂は、鎌倉時代の建築で、元は東山に立っていました。京都市街地で鎌倉時代の建物が残っていたことは奇跡的ですので、非常に貴重な建物。国の重要文化財に指定されています。前置きが長くなりましたが、その本堂で行われるのが、天狗の宴(さかもり)です。秋の紅葉まつりも兼ねて11月の第2日曜に行われています。同じ日には、清凉寺の夕霧供養や、嵐山もみじ祭りも行われます。ただ、今年も雨で嵐山もみじ祭りは中止となったため、愛宕念仏寺まで足を延ばしてみました。今回と次回でご紹介します。

愛宕念仏寺 ちびっこ明神太鼓天狗の宴(さかもり)には、文字通り天狗が登場します。愛宕山の天狗に由来しているかと思いきや、愛宕念仏寺が東山にあった時代から行われてきた古い歴史を持つ行事です。その辺りの経緯については、次回にまとめたいと思います。今回は、天狗の宴に先立って披露された「ちびっこ明神太鼓」についてご紹介します。

愛宕念仏寺 ちびっこ明神太鼓ちびっこ明神太鼓は、福井県越前町の織田地区に伝わる伝統芸能で、全国の数ある太鼓の中でも独特な太鼓なのだそう。「ちびっこ」とあるように、幼児から小学校低学年くらいの小さな子どもたちが登場し、可愛らしく、しかし上手に太鼓を叩いて行きます。この太鼓は、その昔、低い台の上で太鼓を打ち鳴らしながら、村人が力を合わせて台を引きずり歩いたことから「だいすり」という名前で伝承されています。

愛宕念仏寺 ちびっこ明神太鼓越前町の織田地区は太鼓が有名な集落で、他にもいくつかの太鼓演奏団体があります。また、織田の名で思い出すのが織田信長などの「織田氏」ですが、実は織田氏の祖先は越前町にある剣神社の神官で、尾張に移った後、出身地の「織田」を名乗ったともされています。なお、織田地区の「織田」の読みは「おだ」ではなく、「おた」です。今では当たり前のように「おだ のぶなが」と呼んでいますが、実際には「おた のぶなが」が正しいという説もあります。

愛宕念仏寺 ちびっこ明神太鼓話がそれました。それにしても、子どもたちの太鼓は可愛らしい。日頃からよく練習をしているのだろうなと感じました。家族で演奏されている場面もあり、大人と子どもとを見比べることができるのも面白かったです。愛宕念仏寺の天狗の宴では、毎年の恒例行事となっていますので、機会がありましたら是非ご覧になってみてください。



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ガイドのご紹介
吉村 晋弥(よしむら しんや)

吉村 晋弥気象予報士として10年。第5回京都検定にて回の最年少で1級に合格。これまでに訪れた京都の観光スポットは400カ所以上。2011年秋は京都の紅葉約250カ所、2012年春は京都の桜約200カ所を巡る。自らの足で見て回ったものを紹介し、歴史だけでなくその日の天気も解説する。特技はお箏の演奏。

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