山科義士まつり 2011年


12月14日は、忠臣蔵で知られる赤穂浪士が吉良邸へ打ち入りを果たした日です。山科では山科義士まつりが行われました。

最初は本論とは違うお話。旧暦時代の日付を元にしている行事の時は、本当に現代歴でもその日付なのかが気になって調べることがあります。討ち入りの行われた12月14日は旧暦で、現在の暦(グレゴリオ暦)に直すと1月30日になります。しかも討ち入った時刻は、月の動きの証言から推測すると午前4時頃、すなわち31日に日付が変わってからだそうです。なお、雪が降っている場面がドラマなどではよく描かれますが、これは仮名手本忠臣蔵による脚色が元で、実際には冷え込んではいたものの空は晴れていたといわれています(証言では月も見えていますね)。確かに一般的に冬型が卓越する1月末に、太平洋側の東京で積もるほどの雪が降る確率は観測値の裏付けからしても高くはありません。

付け加えるならば、討ち入りのあった1700年頃は現在よりもやや寒冷であったといわれています。すなわち冬型も強力だったと考えると、関東南部に雪を降らせる南岸低気圧は1月終わりでは現在よりも一層通過しにくいと想像されます。一方、江戸時代の大阪では絵図などから雪景色が多かったという話も聞きます。それだけ北からの雪雲が強力であったことの裏付けともなるでしょうか。

また、冬型で西風が強まれば、瀬戸内海が小さな日本海のような役割を果たして、大阪や京都南部(京田辺など)に雪を降らせることがあります。非常に強い寒気の中心(寒冷渦)が南下する際は、渦の中心により近づくため、近畿では北よりも西の風が卓越しやすい(という感覚を私は持っています。数字での裏付けは取っていません)。江戸時代に大阪で雪が多かったとするならば、その理由は北からの雪雲流れ込みのパターンと、強い寒気の南下が連発したことによる「西風」による部分もあるのかも(もっとも西風の場合は大阪東部山沿い中心で、市街地は風花止まりともいわれますが)。以上は、このブログを書きながら思いつきで書いている仮説ですので、的外れな話かもしれないこと、あしからずご了承ください。ただ、江戸時代の京都と大阪で同日の雪の記録があれば、より具体的に気圧配置がイメージできるでしょう。研究してみても面白そうですね。

どうでもよい話が過ぎました。14日の午前中は本妙寺と法住寺の法要へも行ってきました。法住寺では艶やかな大夫道中も行われましたが、その模様は次回のブログで詳しく記載します。本妙寺は東山仁王門にあるお寺で、例年は12月14日のみ赤穂浪士の木像が公開されますが、今年は寺院の改築工事に関連し公開はされないとのことでした。

午後に山科へ着いた時には、すでに刃傷沙汰や討ち入りの場面を再現する劇は終わってしまい、皆さんが昼食を取られている最中でした。山科義士まつりは山科在住の方々が四十七士に扮して、毘沙門堂から大石神社までを練り歩きます。午前中は子ども義士隊の行列もありました。前半を見ていないのですが、後半の行列では間十次郎の槍に、布に包まれた吉良の首が付いていました。一行は、まさに討ち入り後の凱旋という様子で、大石神社へと向かっていきます。行列のメイクなどを担当しているのは太秦映画村の方々。プロの仕事ということで、行列にも帯同して服の乱れなども時々直されていました。

今回は義士列を追いかけて歩きましたが、途中何度か沿道で見学している小学生たちの前で、勇ましい勝どきをあげていました。山科の子どもたちは赤穂浪士の行列を身近に感じて育っていくのだなぁと思います。さて、到着した岩屋寺では大石内蔵助と遥泉院(浅野長矩の妻・阿久里)、大石主税(ちから)が参拝されました。岩屋寺付近は内蔵助が討ち入りまでの間、居を構えた場所として知られています。その他のメンバーは甘酒を頂きしばし休憩。一般にも振る舞われ、生姜たっぷりのアツアツの甘酒に体が温まりました。

最後は内蔵助を祀る大石神社へ。以前は近道から入っていたそうですが、現在は一旦来た道を戻って正面から入っていきます。境内も大勢の方で賑わっています。行列が大石神社で拝礼した後、婦人列の皆さんにより「大石音頭」などの踊りが奉納されました。最後は皆さんで記念撮影をして終了です。今回の私は場所取りがうまく行きましたが、かなりの人がいますので空気を読んで無理せず写真を撮りましょう。

行列の様子の写真はFacebookで公開しています。行列や勝どきの動画は最後をご覧ください。なお、大石神社には可愛らしい ミニチュアホース(名前は花子)がいて、この日も多くの方にかわいがられていました。また、改めてご紹介出来ればと思います。

ガイドのご紹介
吉村 晋弥(よしむら しんや)

吉村 晋弥気象予報士として10年目。第5回京都検定にて回の最年少で1級に合格。これまでに訪れた京都の観光スポットは400カ所以上。自らの足で見て回ったものを紹介し、歴史だけでなくその日の天気も解説する。特技はお箏の演奏。

より大きな地図で 大石神社 を表示

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