宇治神社は、宇治川沿いに面して鳥居が立つ古社です。かつては宇治上神社とともに宇治離宮明神と称され、応神天皇の皇子・菟道稚郎子(うじのわきいらつこ)の宮跡に社を建てたのが始まりと伝わります。平等院ができるとその鎮守とされました。本殿は鎌倉時代の建造で、境内にはウサギの像が目につきます。これは、菟道稚郎子(うじのわきいらつこ)が宇治へ入る際にウサギが振り返りながら先導したという故事にちなんでいます。
菟道稚郎子は博士・王仁(わに)から儒教の思想を受け、長男相続説を守っておられたため、父の応神天皇が亡くなったのちに、兄と皇位の譲り合いになった話が有名です。最終的に菟道稚郎子が自らの命を絶つことで兄が即位して仁徳天皇になったとも伝わる悲劇の存在。地元では宇治の氏神、そして学問の神として古くから崇敬されています。なお、境内南の鳥居は今年の台風で倒れてしまい、根元部分が痛々しく残されていました。再建に向けた寄付も募っておられます。
さて、宇治神社で毎年この時期になると登場するのが「智恵の輪」です。見た目は6月末に各地の神社で見られる「茅の輪」ですが、よく見ると上の分には稲穂が下がっているのが特徴。この輪をくぐることで稲穂の実のようにたくさんの智恵を授かり、実りのある生活が過ごせるようにと祈願をするためのものだそう。くぐる回数は1回でよく、茅の輪のように8の字にくぐる必要もないそうです。個性的な宇治神社の智恵の輪。ご参拝の際にはぜひくぐってみて下さい。
「京ごよみ手帳2019」訂正のお知らせ
・P39の三十三間堂「楊枝のお加持と大的大会」の日程が1月14日となっていますが、正しくは「1月13日」です。
・P225の「京都御所」のデータで、2番の休みは「月曜(祝日の場合は翌日)・年末年始・臨時休あり」です。
ご迷惑をおかけいたします。
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ガイドのご紹介
吉村 晋弥(よしむら しんや)
第14回京都検定1級(合格率2.2%)に最高得点で合格。気象予報士として10年以上。第5回京都検定にて回の最年少で1級に合格。8年ぶりに受験した第13回京都検定で再度1級に合格し「京都検定マイスター」となる。これまでに訪れた京都の観光スポットは400カ所以上。自らの足で見て回ったものを紹介し、歴史だけでなくその日の天気も解説する。毎月第2水曜日にはKBS京都ラジオ「笑福亭晃瓶のほっかほかラジオ」に出演中。「京ごよみ手帳」監修。特技はお箏の演奏。