先日、猫を紹介した深草の竹林ですが、竹林そのものも綺麗です。
京都はタケノコの産地として知られますが、多くが洛西をイメージすると思います。京都市西部の洛西エリアや、向日市・長岡京市にかけては春になるとタケノコ掘りで活況を呈します。一方、京都の東山エリアはあまり竹林のイメージがありません。寺院でも青蓮院や高台寺、南禅寺の天授庵に一部竹林がある他は、ほとんど目にする機会がないかと思います。
しかし伏見稲荷大社のある稲荷山の南、深草の東一帯には竹林が多くあり、タケノコが栽培されているのです。実は深草の竹林は歴史が古く、「深草や 竹の葉山の 夕きりに 人こそ見えね 鶉なくなり」と平安時代の和歌にも詠まれ、有名な「竹取物語」の舞台の候補地の一つともされています。また、江戸時代には真竹を用いた団扇(うちわ)が特産品ともなりました。現在のタケノコは孟宗竹ですので種類は違いますが、深草と竹は、深いつながりがあるのです。
稲荷山には神蹟やお塚と呼ばれる信仰地が点在をしており、さまざまな経路から山頂を目指せます。そのうち、南側のルートをとると竹林のあるエリアへと足を延ばせます。近年は、京都一周トレイルの伏見・深草ルートが設定され、この竹林を抜けるコースとなっています。この付近は意外な風景が広がり、まさに京都の奥深さを感じる地域ではないでしょうか。
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ガイドのご紹介
吉村 晋弥(よしむら しんや)
気象予報士として10年以上。第5回京都検定にて回の最年少で1級に合格。8年ぶりに受験した第13回京都検定で再度1級に合格し「京都検定マイスター」となる。これまでに訪れた京都の観光スポットは400カ所以上。自らの足で見て回ったものを紹介し、歴史だけでなくその日の天気も解説する。毎月第2水曜日にはKBS京都ラジオ「笑福亭晃瓶のほっかほかラジオ」に出演中。「京ごよみ手帳 2017」監修。特技はお箏の演奏。