井手町 玉川を彩る山吹

井手町 玉川の山吹
京都の南、井手町玉川沿いでは、古来から和歌に詠まれてきた山吹の花が咲いています。

井手町 玉川の山吹京都駅からJR奈良線で南へ向かい、玉水駅で降りると玉川はすぐそこです。玉川は古い歴史を秘めた場所で、奈良時代に「井手左大臣」と呼ばれた橘諸兄(たちばなのもろえ)は、玉川の美しさにひかれ、井手の地に館を建て玉川の水を引き、山吹を楽しんだと言われます。橘諸兄といえば、奈良の大仏を建立した聖武天皇の時代、藤原四兄弟亡きあとの政界に重きをなし、後に藤原仲麻呂と権力を争った第一人者。日本史では有名な人物です。

井手町 玉川の山吹南山城は奈良の都からの距離も近く、橘氏の氏寺・井出寺(井堤寺)は都の官寺に匹敵する大規模な寺域を持ち、橘諸兄の墓も井手町に残されています。橘諸兄は山吹を好んで邸宅に植え、さらには玉川沿いにも植えたそうです。その見事さは数々の和歌にも詠まれてきました。さらにカジカガエルの鳴き声も有名で、山吹と蛙は、井手の玉川を象徴する歌枕となりました。実は今でも玉沿いには、なんと1万2千本もの山吹が植えられています。桜も有名ですが、桜が終わった後には黄金色に染まる場所が玉川なのです。

井手町 玉川の山吹先日訪れてみると、たいへん美しい光景で玉川沿いに咲いており、感動しました。井手町は昭和28年の南山城大水害で大きな被害を受け、玉川の上流部にあった大正池(現在の大正池とは別)の決壊によって、濁流が流れ下り、天井川であることもあって被害が甚大となり、105名もの人命が失われました。玉川沿いには慰霊碑が建ち、今でも家族を亡くされたご親族の方が花を手向けておられます。桜は、その未曽有の大災害からの復興に際して植えられ、古来親しまれた山吹も、地元の方の努力によって再び楽しめるようになりました。現在の光景に感謝をしつつ、素晴らしい光景を眺めることができました。

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ガイドのご紹介
吉村 晋弥(よしむら しんや)

気象予報士として10年以上。第5回京都検定にて回の最年少で1級に合格。8年ぶりに受験した第13回京都検定で再度1級に合格し「京都検定マイスター」となる。第14回京都検定1級(合格率2.2%)に最高得点で合格。これまでに訪れた京都の観光スポットは400カ所以上。自らの足で見て回ったものを紹介し、歴史だけでなくその日の天気も解説する。毎月第2水曜日にはKBS京都ラジオ「笑福亭晃瓶のほっかほかラジオ」に出演中。「京ごよみ手帳 2018」監修。特技はお箏の演奏。

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