隨心院のある「小野」の地は、小野氏ゆかりの土地で、平安時代には小野小町が住んでいたとも伝わります。隨心院には、小町がもらった恋文を埋めたという文塚や、文を張り付けたという文張地蔵があり、化粧井戸や、老年の小町の像(卒塔婆小町坐像)までもが存在しています。毎年秋にはミス小野小町コンテストも行われ、3月の最終日曜日に行われる「はねず踊り」は大勢の人で賑わいます。
この時期は境内の緑や苔が綺麗ですが、サツキの花も咲いてきていました。サツキの花は見慣れたお庭の風景を華やかに一変させるため、その場所を何度も訪れている方ほど、新たな魅力を発見できるでしょう。私もサツキの花の持つ意外性を毎年楽しみにしています。
もうじき6月で梅雨に入ってきますが、隨心院は基本的に建物内からお庭を眺めるお寺のため、雨の日にも足元が濡れにくいのがおすすめポイント。苔の艶めきは雨の日にこそ素晴らしいものがあります。能の間の奥に座してお庭を見ると、まるで額縁に入った絵画のように風景を楽しむこともできます。ぜひ、自分好みの額縁構図が見られる位置を探してみてください。
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ガイドのご紹介
吉村 晋弥(よしむら しんや)
気象予報士として10年以上。第5回京都検定にて回の最年少で1級に合格。8年ぶりに受験した第13回京都検定で再度1級に合格し「京都検定マイスター」となる。これまでに訪れた京都の観光スポットは400カ所以上。自らの足で見て回ったものを紹介し、歴史だけでなくその日の天気も解説する。毎月第2水曜日にはKBS京都ラジオ「笑福亭晃瓶のほっかほかラジオ」に出演中。「京ごよみ手帳 2017」監修。特技はお箏の演奏。