松ヶ崎大黒天 大祈祷会 2017年

松ヶ崎大黒天 大祈祷会 水行
2月15日に松ヶ崎大黒天で大祈祷会があり、恒例の水行が行われました。

松ヶ崎大黒天 大祈祷会松ヶ崎大黒天のは、五山の送り火の「法」の字が灯される松ヶ崎東山の麓にある寺で、正式には妙円寺という日蓮宗のお寺です。最澄作という大黒天像を祀り、昭和44(1969)年の火災の際もこの大黒像は無事であったため「火中の大黒様」とも呼ばれ、特に新年は「都七福神」のひとつとして信仰を集めています。

松ヶ崎大黒天 大祈祷会 水行松ヶ崎大黒天で2月15日に行われた大祈祷会(加持大祭)は、日蓮宗の荒行僧による水行・祈祷・護摩木焚きが行われる冬の恒例行事です。日蓮宗には世界三大荒行のひとつとされる「寒の荒行」という、たいへん厳しい修業があり、荒行僧は11月1日から2月10日までの100日間、千葉県市川市にある大本山・法華経寺にて大荒行堂にこもります。服は白木綿単衣に麻の袈裟に素足。荒行僧の一日は、早朝2時半に起床し、朝3時の一番の水から3時間毎に午後11時まで1日7回、寒水に身を清める「水行」をはじめ、「万巻の読経」、「木釼(ぼっけん)相承」、相伝書の「書写行」を修します。

松ヶ崎大黒天 大祈祷会 水行食事は朝夕2回、お粥と味噌汁が基本で時間も5-6分。荒行中の睡眠時間はなんと3時間ほどだそう。万巻の読経を行うためには昼夜ひたすら読経を続けねばならず、喉はつぶれてしまいます。これらは想像を絶するたいへんな苦行で、近年でも命を落とす方がおられるほどです。日蓮宗ではこの修行を終えた者にのみ「祈祷」の秘法が相伝されるそうです。ひたすらに水行を重ねるのは、自分以外の人々の災難を自ら引き受けるという強い決意だともいわれ、苦しさの中には「死と蘇生」の宗教的体験が秘められているともされます。

松ヶ崎大黒天 大祈祷会 水行松ヶ崎大黒天の大祈祷会では、毎年この「寒の荒行」を満行された方が来られて水行を行います。行事は、まず13時から本堂にて荒行僧による祈祷があり、一般の参拝者も本堂で参列することができます。続いて、13時45分頃から水行が始まりました(年によっては14時からのこともあるそう)。

松ヶ崎大黒天 大祈祷会 水行今年は2名と例年より少なかったものの、水行の際に詠じる「水行肝文(すいぎょうかんもん)」の野太い声に、荒行を積まれた凄みを感じました。ちなみに、荒行は複数回行うことができ、今年の行者さんは2名で、300日(3年)と200日(2年)の満行者でした。荒行僧の人数は年によって変わります。2月10日に荒行を終えたばかりという状況の中、やはり荒行僧からはオーラを感じます。水は頭ではなく首元にかけますが、その勢いは鬼気迫るものがありました。

松ヶ崎大黒天 大黒そば水行が終わると、大黒天堂で事前の申し込み者に対して荒行僧による個別のご祈祷が行われました。荒行を終えた行者には法力が宿るともされ、天台宗の千日回峰行の大阿闍梨と同様に、信仰対象となるのです。そして最後に護摩焚きが行われて大祈祷会は終了します。なお、この日は絵馬堂にて無料接待でお蕎麦の接待があります。数に限りがあり14時前には終了となるため、ご注意ください。護摩木焚きは祈祷が終わり次第、15時ころから始まっているようです。

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ガイドのご紹介
吉村 晋弥(よしむら しんや)

気象予報士として10年以上。第5回京都検定にて回の最年少で1級に合格。8年ぶりに受験した第13回京都検定で再度1級に合格し「京都検定マイスター」となる。これまでに訪れた京都の観光スポットは400カ所以上。自らの足で見て回ったものを紹介し、歴史だけでなくその日の天気も解説する。毎月第2水曜日にはKBS京都ラジオ「笑福亭晃瓶のほっかほかラジオ」に出演中。「京ごよみ手帳 2017」監修。特技はお箏の演奏。

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