五山の送り火 2013年 船岡山から

五山の送り火「大」
2013年の五山の送り火船岡山で眺めてきました。

18時半頃の船岡山展望台2011年も、船岡山で「大」「妙法」「船形」「左大」を眺めてきました。さらにその後、猛ダッシュをして「鳥居形」も眺めて、五山の送り火を完全制覇してきました(同じことをするのは非常に難しいのでお勧めはしません)。昨年は「鳥居形」をじっくりと眺め、今年は船岡山のみに絞って、比較的ゆっくりと「大」「妙法」「船形」「左大」の送り火を見ることにしました。18時半頃に船岡山に登ると、最もよく見える展望台の辺りは既に人でいっぱいでした。恐らく夕方には既に人が来ていて、シートを広げて弁当を食べながら点火を待つなどされているようです。

五山の送り火「法」ということで、2011年と同様に建勲神社へと向かいました。ここは階段から「大」しか見えませんが、19時半頃に来ても十分見る場所は確保できます。ただし、神社の神域ですので飲食は厳禁。山中で蚊も多いのでご注意ください。また、船岡山は暗いので、足もとを照らす明かりはあったほうが安全です。

五山の送り火「大」20時を迎え階段も人でいっぱいになる頃、いよいよ「大」の炎が灯りました。大は各火床が一斉に灯っていきます。「大」の発祥については比較的よく知られているので割愛して、なぜ「大」の形なのかを書いてみましょう。以下、こちらも諸説があってはっきりとはしないという前提で読んで下さい。一つは北極星を意味する北辰(ほくしん)をかたどったとする説があります。「☆」の形の頂点を結べば「大」の文字が現れます。北極星は天の中心にあって動かないため、同じく動かない山に炎を灯したとも考えられます。また、仏教では人の体を「大」で表し、弘法大師空海が「大」の形の護摩壇を大文字山に設けたという説もあります。また、「一人」という字を一文字で表現しようとすれば「大」となります。このように、様々な説があって何が真実かは定かではありません。

五山の送り火「左大文字」さて、「大」の字が灯ると建勲神社の人々は一斉に大移動をし始めます。「妙法」など他の炎がここからは見えないためです。一般的には建勲神社から北周りで展望台方面へ行きますが、私は土地勘を活かして南周りで山頂を目指し、左大文字の点火の場面を見ることにしました。このルートは近道ですが、真っ暗な山道を歩きますので、難易度が高いです。

左大文字左大文字は法音寺からの松明行列が近年は知られるようになりました。左大文字が灯るのは金閣寺の近くの大北山という岩山で傾斜もあり非常に歩きにくいそうです。船岡山からは、松明を持った人々が火床を目指して登っていく場面が見られます。左大文字は書き順にそって炎が点火されるといいますが、実際に見てみると、手に松明を持った人々が予め「大」の形に並ぶため、炎が灯る前から火勢の小さな「大」の文字が浮かび上がっていて、実際には書き順の通りに灯るというのはよく見ていないと分かりにくいです。船岡山からはこの左大文字が最も大きくはっきりと見ることができます。

五山の送り火「妙」左大文字の点火を見守った後は、「妙法」を見るために展望台方向へと向かいます。目で見るだけならば開けた展望台へと向かうのがよいのですが、私の場合は資料用の写真を撮るという目的があります。そのため、人でごった返して三脚が建てられない展望台は避け、少し離れた茂みの間から綺麗に見ることができました。

五山の送り火「法」船岡山からの「妙法」は、いずれもかなり寝た形となるため、字を知っていないとどの文字が灯っているのか分かりにくいと思います。実際、そういった声も周りからは聞こえてきました。ただ、「妙法」自体は大きく欠けることなく、十分に見られると思います。妙法の山は比較的低いため、距離的に近くてもビルなどに隠れてしまうことが多い送り火です。今後も京都の景観が守られて、多くの場所から送り火が見続けられたらと思います。

五山の送り火「船形」船岡山からの「船形」は、間にある山によって下の方が欠けてしまい、完全な形で見ることはできません。大よそ3分の2が見えているといった印象です。隠れた下の方を少しでも見るためには、出来るだけ高い場所で見ることが必要です。船形は山頂からは見えないため、実質的に展望台の辺りが最も高い場所から見られる場所となります。個人的には、屋根付きの休憩所の辺りがおススメです。ただし人でごった返しているので、カメラを固定して写真を撮るのは最も難しく、今回奇跡的に撮れたのがこの写真です。

船形以上、五山の送り火は、欲張ってたくさん見ると小さくなったり、あるいは欠けたり正面ではないなどします。京都に住んでいる方でしたら、6年かけて6つの送り火を近くで見るのがよいかと思いますが、そうもいかない方は比較的大きく、そして6つ中5つの送り火が見られる船岡山はよい場所でしょう。ただし、人が多く、足もとは暗いため怪我には十分に注意をしながら、京都の夏の風物詩をご覧になって下さい。

ガイドのご紹介
吉村 晋弥(よしむら しんや)

吉村 晋弥気象予報士として10年。第5回京都検定にて回の最年少で1級に合格。これまでに訪れた京都の観光スポットは400カ所以上。2011年秋は京都の紅葉約250カ所、2012年春は京都の桜約200カ所を巡る。自らの足で見て回ったものを紹介し、歴史だけでなくその日の天気も解説する。特技はお箏の演奏。

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