久多の花笠踊 上の宮神社から大川神社へ

久多花笠踊
8月24日に京都市の北部にある久多で、花笠踊が行われました。

久多花笠踊この行事の紹介もずいぶん時間がたってしまいました。最近忙しくなり、なかなかゆっくりと動画の編集ができない日々が続いています。様々な興味深い行事には出かけていますので、おいおいご紹介できればと思います。さて、久多は京都市ながら滋賀県に近く、京都市街地からは車で1時間20分ほどかかります。京都市は琵琶湖よりも広い面積があるため、こうしたエリアもあるのです。久多の花笠踊は、京都検定のテキストにも掲載されている、風流灯籠踊です。

久多花笠踊毎年14日に盆行事の施餓鬼を終えてから花宿と呼ばれる家で花笠を作ります。今年は17基の花笠が出ましたが、花宿は毎年持ち回りで作っていくそうです。花笠灯籠は、菊の花が多い印象で、本物の花そっくりです。紙と竹と一部針金で作られているそう。昔は赦免地踊り灯籠のように少年が頭にかぶって踊ったそうですが、現在は少子高齢化の影響で大人が手に持って踊ります。頭にかぶるために灯籠につける輪っかも取ってしまったものも多いとのことでした。

久多花笠踊踊りは国の重要無形民俗文化財にも指定され、室町時代の風流(ふりゅう)の文化を今に伝えます。行われるのは8月24日。最近は人手不足のため24日に近い日曜日に行っていたこともありましたが、再び24日に戻されています。20時に上の宮神社に花笠が集まり、志古淵神社からも神職が到着して神事が始まります。神事に続いて花笠踊が奉納されます。暗闇に歌声が響き渡り、手に持った灯籠がユラユラと揺れる幻想的な光景。現代社会とは時の流れが違うような雰囲気です。地元の方は温かく、奉納の合間にはお互い冗談を言い合ったり、私たちのような外からの人間にも快く写真を撮らせてくださいます。

久多花笠踊上の宮神社での奉納が終わると、人びとは大川神社に向かって夜道を進んでいきます。灯籠を手に持って道歌を歌いながら、下駄のカランコロンという音が響き、とてもよい雰囲気です。まさに時代を越えて受け継がれているという思いがしました。暗闇に灯籠が灯り、ゆっくりと進んでいく眺めは現代とは思えないような光景です。なお、道中では正面からのフラッシュでの写真撮影はできませんので、ご注意ください。

久多花笠踊大川神社に到着をすると、ひとりひとりが神社に参拝をし、そして上の宮神社と同様に踊りが奉納されました。暗闇で動く花笠灯籠や歌声が作り出す独特の雰囲気がたまりません。踊りの様子は動画もあるので、ぜひご覧になってみてください。奉納を終えた一行は、大川神社から集落の総鎮守である志古淵神社へと向かい、本格的な踊りの奉納を行います。その様子は次回以降でご紹介します。



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ガイドのご紹介
吉村 晋弥(よしむら しんや)

吉村 晋弥気象予報士として10年以上。第5回京都検定にて回の最年少で1級に合格。これまでに訪れた京都の観光スポットは400カ所以上。2011年秋は京都の紅葉約250カ所、2012年春は京都の桜約200カ所を巡る。自らの足で見て回ったものを紹介し、歴史だけでなくその日の天気も解説する。毎月第2水曜日にはKBS京都ラジオ「笑福亭晃瓶のほっかほかラジオ」に出演中。特技はお箏の演奏。

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