2月11日に、上賀茂神社で紀元祭が行われ、蹴鞠などの日本のスポーツが奉納されました。
紀元祭が行われる2月11日は、紀元前660年に初代天皇・神武天皇が即位した日とされ、戦前は紀元節と呼ばれる国家的な行事として祝われていました。戦争を経て紀元節は廃止されましたが、昭和42年に「建国記念の日」として国民の祝日となりました。なお、神武天皇が即位した紀元前660年は縄文時代に当たり、天皇の実在性は疑問視されていますが、古事記や日本書紀には九州の日向国から兄弟とともに東へ攻めのぼってくる話などが描かれています。
また、熊野から大和国へと神武天皇(神日本磐余彦:かむやまといわれびこ)を助け導いた八咫烏(ヤタガラス)は、上賀茂神社のご祭神の祖父である、賀茂建角身命(かもたけつぬみのみこと)の化身とされていて、神武天皇と賀茂社はつながりが深いともいえるでしょう。
紀元祭では、剣道・空手・蹴鞠といった日本に伝わるスポーツが奉納されます。中でも注目を集めるのが蹴鞠奉納。一般的には蹴鞠は見学者が多く混雑しますが、上賀茂神社の紀元祭は、開催日は祝日ではあるものの、上賀茂神社へは比較的行きにくい上に、行われるのが寒い冬の午前中。紀元祭と蹴鞠が結びつく方も少ないとあって、特に後半は最前列で見ることが可能です。じっとしていると寒い時期ではありますが、優雅な蹴鞠を優雅に見られる貴重な機会となっています。
今年は雪の積もる中でしたが、雪が止んでいたため、細殿の前が掃き清められて例年通りに行われました。幸いにも蹴鞠の時間帯は風も乱れず、比較的ラリーが長く続いていました。鞠の重さは約150グラムしかないため、風があると蹴る瞬間の足元で微妙に変化をし、あらぬ方向に飛んでいきやすくなるそうです。
蹴鞠は、相手に蹴りやすい球を蹴ることが大切で、勝ち負けは無く、できるだけ長く蹴り続けることに価値を見出す遊びです。鞠を蹴る時の独特な音、「アリ ヤア オウ」のかけ声、雅やかな衣装など、機敏な動きがある一方で優雅さも兼ね備えています。実際には、袴を着て鞠を蹴るのも練習しないと難しいそうで、白峯神宮で行われている蹴鞠(しゅうきく)保存会の皆様の練習風景では、普段着ではなく袴姿で練習されている様子を見ることができます。こうして、しばし優雅な時間を過ごさせて頂きました。機会がありましたら、紀元祭にも足を延ばしてみてください。なお、紀元祭は5年続けてご案内をさせていただきました。今回、散策に散策にご参加頂きました皆様、ありがとうございました。
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ガイドのご紹介
吉村 晋弥(よしむら しんや)
気象予報士として10年以上。第5回京都検定にて回の最年少で1級に合格。8年ぶりに受験した第13回京都検定で再度1級に合格し「京都検定マイスター」となる。これまでに訪れた京都の観光スポットは400カ所以上。自らの足で見て回ったものを紹介し、歴史だけでなくその日の天気も解説する。毎月第2水曜日にはKBS京都ラジオ「笑福亭晃瓶のほっかほかラジオ」に出演中。「京ごよみ手帳 2017」監修。特技はお箏の演奏。