祇園祭の行事、5日には稚児舞披露が行われました。長刀鉾町会所の2階から四条通の人々に向かって、巡行時に舞う「太平の舞」と呼ばれる稚児舞が披露される行事です。動く鉾は結構揺れますので、揺れない町会所で行うのは実践的な練習の意味もあるのかもしれません。今年のお稚児さんは、川崎機械工業の社長さんのご子息。お稚児さんは、長刀鉾町に養子縁組をして、まさに「鉾町の子」となりますが、相応の資金が必要で、しきたりもあるため、お稚児さんは社長の息子さんが務めることも多いです。
舞は町役の方のチェックの後に披露されます。頭にはクジャクの羽根を飾った冠をつけ、萌黄色の肩衣(かたぎぬ)も綺麗です。四条通には多くの人が集まっていて、その中に混じって舞の様子を下から見守るのは、お稚児さんや禿(かむろ)のお母さんたち。会所の上ではお稚児さんの後ろに、お父さんやお爺さんが立つのがならわしです。
特にお母さんが優しくお稚児さんを見守る姿は毎年印象的。そして、お稚児さんが見つめる先にはしっかりとお母さんがいるのです。お稚児さんも安心するのではないでしょうか。お稚児さんは祇園祭で成長するといいますが、稚児舞披露の次は12日の曳き初めでの舞があり、徐々にステップアップしながら、本番を迎えて行きます。
さて、稚児舞披露はお囃子の演奏の中で行われますが、はじめはゆったりとしたテンポが、だんだんと速くなっていきます。これは17日の巡行時も同じで、四条通では八坂神社への奉納囃子のため厳かにゆったりとした曲調。四条河原町の辻回しの最中からだんだんとテンポが速くなり、軽快な戻り囃子へと変わっていくのです。今年は雨の降る中でしたが、無事に稚児舞披露が終わりました。まだまだ祇園祭は始まったばかり。今年も楽しみに巡っていきたいと思います。
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ガイドのご紹介
吉村 晋弥(よしむら しんや)
気象予報士として10年以上。第5回京都検定にて回の最年少で1級に合格。8年ぶりに受験した第13回京都検定で再度1級に合格し「京都検定マイスター」となる。これまでに訪れた京都の観光スポットは400カ所以上。自らの足で見て回ったものを紹介し、歴史だけでなくその日の天気も解説する。毎月第2水曜日にはKBS京都ラジオ「笑福亭晃瓶のほっかほかラジオ」に出演中。「京ごよみ手帳 2017」監修。特技はお箏の演奏。