22日・23日の六地蔵めぐり。上善寺では地蔵堂が新築されています。
京都の夏に欠かせないならわしの一つが、六地蔵巡りでしょう。伏見(大善寺)、鳥羽(浄禅寺)、桂(地蔵寺)、常盤(源光寺・光明地球本尊)、鞍馬口(上善寺)、山科(徳林庵)の、6か所の京都の出入口にまつられた6体の地蔵菩薩を巡拝し、家内安全、無病息災、家運繁栄などを祈願する行事です。各寺では、「お幡(はた)」と呼ばれる色違いの札を授かります。旗の色は如来を色で表した5色で、その全てを集めて家に持ち帰り、護符として玄関や軒先に一年吊るすのです。色は大善寺と源光寺(光明地球本尊)が同じ白色ですが、源光寺(光明地球本尊)はデザインが他と異なっています。
六地蔵巡りの六地蔵は、もとは大善寺に6体とも安置されていました。地蔵を刻んだのは、あの世とこの世とを自由に行き来できたという平安時代の官僚、小野篁(たかむら)です。篁は、48歳のときに熱病に浮かされ、仮死状態で地獄へと行きました。そこで苦しむ人びとを一人一人救っている僧に出会うのです。僧は小野篁に「私は地蔵菩薩だ。できれば全員を救ってやりたいが、縁がないとそれも難しい。」といい、篁が現世に戻って私(僧)の姿を彫り、多くの人びとが地蔵菩薩と縁を結べるようにしてほしいと告げていくのです。
こうして、現世に戻ってきた小野篁は、木幡山の桜の大木から6体の地蔵菩薩を彫りあげ、大善寺にまつりました。彫るに際して、1刀入れるごとに3度礼拝するという、最上級の作法を行ったと伝わっています。こうして出来上がった六地蔵ですが、平安時代の末期、都で疫病が流行った際に、後白河天皇の命令で平清盛によって、現在のように京都の出入口の街道の入り口に分かれて安置されました。
さて、鞍馬口の上善寺では、地蔵堂が新築されて六角のお堂がお目見えました。優しいお顔のお地蔵さまも喜んでいるかのようです。お地蔵様の姿も以前よりはっきり見えるような気がしました。今日も多くの方が訪れては、昨年度のお幡を奉納して新たなお幡を頂いていきます。六地蔵めぐりは23日まで行われています。
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ガイドのご紹介
吉村 晋弥(よしむら しんや)
気象予報士として10年以上。第5回京都検定にて回の最年少で1級に合格。これまでに訪れた京都の観光スポットは400カ所以上。2011年秋は京都の紅葉約250カ所、2012年春は京都の桜約200カ所を巡る。自らの足で見て回ったものを紹介し、歴史だけでなくその日の天気も解説する。毎月第2水曜日にはKBS京都ラジオ「笑福亭晃瓶のほっかほかラジオ」に出演中。「京ごよみ手帳 2016」監修。特技はお箏の演奏。