10月8日に皆既月食がありました。二条城の隅櫓越しに見事な赤い月を見ることができました。
台風19号、京阪神を直撃する予報となり、各方面に影響が広がっています。JR西日本は13日16時から全ての列車の運行を止めると発表しました。最悪の場合、外出先から戻れなくなる恐れもありますので、十分にご注意ください。12日21時の予想では、台風は13日朝9時の段階ではまだ九州の西ですが、その後速度を時速45km~50kmと早めながら接近して来ます。風雨が急激に強まってきますので、特に夕方以降は外出を控えてください。台風の京阪神への最接近時刻は、明日の21時前後となりそうです。
さて、10月8日の満月は皆既月食となりました。皆既月食は数年に一度しかない現象で、さらに月が欠けたまま出てきたり、欠けたまましずむなど、全行程が見えないことも多いため、今回のようにすべてが見られ、しかも皆既状態の時間が長いのはとても貴重な機会でした。皆既月食では月は完全に真っ暗にはならず、地球の大気で屈折した光が月を照らすために、月全体が赤っぽくなります。ただ、欠けて行く最中はまだ残っている月の光が強く目に届くため、欠けた部分は暗く見えます。私はこの欠けて行く時間のワクワク感が少年時代から大好きで、事前に「皆既月食は赤くなる」とは聞いていても、もしかしたらこのまま月が真っ暗になるのでは?、と思ってしまいますね。
皆既食の「皆既」という言葉は「みなつきる(皆尽きる)」という意味で、「既」という漢字には「ごちそうをおくび(ゲップ)が出るまですっかり食べてしまう様」という成りたちがあります。日食・月食の「食」の通り「全て食べつくす」という意味とも取れる「皆既」の言葉。古代の人たちは、欠けて行く様子にさぞ驚き、人知を超えた何かが月や太陽を食べると考えたのかもしれません。
2011年の皆既月食のときは京都タワーと一緒に月を眺めてきましたが、今回は二条城や神泉苑などから眺めてきました。月は結構南を通るので、東寺の五重塔と一緒に撮るのは難しいと判断しました。まずは神泉苑で、法成橋越しの風景を。観月の名所でもありますので、地元の方がちらほらと訪れて、赤く輝く月を眺めていました。神泉苑は天皇のプライベートな苑池ですが、かつて天皇が同じように神泉苑で月食を見たかといえば、それはないでしょう。月食や日食は不吉な出来事とされ、むしろ見ないように室内に籠ってやりすごすものでした。同じものでも時代が変われば、捉え方が変わります。
その後に眺めた二条城の西南隅櫓越しの月は事前にイメージしていたとおりの美しい眺めでした。二条城の周りは多くの人が運動のためか走っていて、時折月を気にしているようでもありました。こうしたお城越しの月食は、江戸時代の人も眺めていた可能性はあります(暦が広く庶民にも広まっているので)。少なくとも、西南隅櫓は二条城創建以来の建造物ですので、この写真と変わらない眺めは見られたこともあったはずです。月食を見ながら、京都の歴史の深さを考えた夜でした。
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ガイドのご紹介
吉村 晋弥(よしむら しんや)
気象予報士として10年以上。第5回京都検定にて回の最年少で1級に合格。これまでに訪れた京都の観光スポットは400カ所以上。2011年秋は京都の紅葉約250カ所、2012年春は京都の桜約200カ所を巡る。自らの足で見て回ったものを紹介し、歴史だけでなくその日の天気も解説する。特技はお箏の演奏。