少し前ですが、3月3日に下鴨神社を訪れると、境内の光琳の梅が見ごろを迎えていました。
下鴨神社の御手洗川に面して1本の紅梅が見ごろを迎えています。通称「光琳の梅」と呼ばれる梅の木です。光琳とは、江戸時代に活躍をした画家・尾形光琳のこと。後に「琳派」と呼ばれる装飾的な画風を得意とした一派の代表的な人物で、絵画のみならず工芸の面でも才能を発揮し、八橋蒔絵螺鈿硯箱(やつはし まきえ らでん すずりばこ)は、国宝としても知られています。
尾形光琳の絵画では「燕子花図屏風(かきつばたずびょうぶ)」と「紅白梅図屏風」がなんといっても有名です。いずれも国宝の絵画として名高く、教科書などで目にしたことのある方が多いと思います。下鴨神社の紅梅は、実は紅白梅図屏風に描かれている梅のモチーフになったとされています。
梅は楼門をくぐって右側、御手洗川にかかる朱塗りの橋「輪橋(そりはし)」のたもとに咲き、美しい橋とも相まって京都らしい風情も感じさせてくれます。紅白梅図屏風の紅梅と比べると、ずいぶんと花の密度が多いように感じます。時の流れなのか、あるいは光琳が目にした梅と同じものでないのかは分かりませんが、通常の紅梅よりも色に深みがあり、上に上にと伸びる様は絵に似通っている印象も受けました。神社に参拝する人も、満開の梅に引き寄せられて、写真を撮って楽しんでいる方が多いです。見頃はしばらく続きますので、是非ご覧になってみて下さい。
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ガイドのご紹介
吉村 晋弥(よしむら しんや)
気象予報士として10年以上。第5回京都検定にて回の最年少で1級に合格。8年ぶりに受験した第13回京都検定で再度1級に合格し「京都検定マイスター」となる。第14回京都検定1級(合格率2.2%)に最高得点で合格。これまでに訪れた京都の観光スポットは400カ所以上。自らの足で見て回ったものを紹介し、歴史だけでなくその日の天気も解説する。毎月第2水曜日にはKBS京都ラジオ「笑福亭晃瓶のほっかほかラジオ」に出演中。「京ごよみ手帳 2018」監修。特技はお箏の演奏。