5月15日に行われた葵祭。今回は下鴨神社・上賀茂神社で行われた走馬の儀をご紹介します。
5月15日に行われる葵祭の行列(路頭の儀)は、午前中に御所を出発して下鴨神社へと向かい、午後に上賀茂神社へと向かいます。この行列は宮中から賀茂の神へと御幣物(ごへいもつ)をお届けし、天皇の使いである勅使(近衛使代)が天皇から預かった神へのお言葉である祭文(さいもん)を奏すために向かう列です。華やかな斎王代が注目をされますが、行列の本質は一見地味な部分にあります。余談ですが、御幣物が納められた櫃(ひつ)は御所から下鴨神社までは3つありますが、下鴨で2柱の神に奉じられるため、下鴨神社から上賀茂神社への行列では1つに減ります。
一行が下鴨神社に到着すると社頭の儀が行われますが、その一環として馬が疾走するのが「走馬(そうま・そうめ)の儀」です。葵祭の始まりは平安京に都が移る前、6世紀中ごろの欽明天皇のころとされます。当時、国内が風水害で凶作に見舞われたため、占い師の伊吉若日子(いき(の)わかひこ)に占わせると賀茂の神の祟りであることがわかり、4月の吉日に、葵を飾り馬に鈴をつけて走らせ、人は猪頭(いのがしら)を被り、五穀豊穣を祈ったことが始まりとされます。
葵祭は5月15日の行列(路頭の儀)のみならず、5月初めから様々な行事が続きますが、競馬(くらべうま)や流鏑馬(やぶさめ)など特に馬の神事が多いことが特徴。15日の下鴨神社・上賀茂神社で行われる「走馬の儀」も、祭り発祥の故事にちなむ馬の神事で、下鴨神社では糺の森の馬場を、上賀茂神社では一之鳥居からの参道において馬を疾走させます。
下鴨神社の走馬の儀は、5月3日行われた流鏑馬神事の的がないものといったイメージです。やはり、馬が目の前を勢いよく駆け抜ける様子は迫力があり、一見の価値があります。こちらは無料で見学することができ、路頭の儀の行列が神社に入ってから糺の森の馬場沿いには人が集まってきます。馬が疾走するのは13時半ころとなります。10回ほどは馬が走るでしょうか。最後には乗り手が褒美として神禄の帛(はく:布)を受け取り、左→右→左と喜びの舞(拝舞)を舞う場面もありますのでお見逃しなく(同じ場面は流鏑馬神事でも見ることができます)。
上賀茂神社の走馬の儀は競馬(くらべうま)とは違って参道を使って行われます。一之鳥居から二之鳥居の前まで勢いよく駆け抜けていく様子もやはり迫力があります。上賀茂神社で走馬の儀を目の前で見るには有料席(1000円)に入る必要がある点をご注意ください。路頭の儀の行列の到着から待っている方も多数おられます。葵祭は雅な行列だけでなく、こうした馬に関わる迫力ある神事が多いため、5月15日の行列のみならず馬が走る神事もぜひ見て頂ければと思います。走馬の儀の様子は動画もありますのでご覧ください。
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- 毎月第2水曜日に出演させていただいてる、KBS京都ラジオの「笑福亭晃瓶のほっかほかラジオ」。次回は6月10日(水)9時35分頃~50分頃です。
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ガイドのご紹介
吉村 晋弥(よしむら しんや)
気象予報士として10年以上。第5回京都検定にて回の最年少で1級に合格。これまでに訪れた京都の観光スポットは400カ所以上。2011年秋は京都の紅葉約250カ所、2012年春は京都の桜約200カ所を巡る。自らの足で見て回ったものを紹介し、歴史だけでなくその日の天気も解説する。毎月第2水曜日にはKBS京都ラジオ「笑福亭晃瓶のほっかほかラジオ」に出演中。特技はお箏の演奏。