25日に北野天満宮の初天神を訪れる散策を開催させていただきました。境内では早咲きの梅が少しづつほころんでいました。
北野天満宮は菅原道真を祀り、学問の神として京都でも屈指の人気を集める神社です。ちょうど受験シーズンでもあり、学生さんの参拝も多くなる時期です。菅原道真は生誕が6月25日、亡くなったのが2月25日といずれも「25日」であるため(ちなみに大宰府へ左遷されたのも25日)、毎月25日は天神さんの縁日として「天神市」と呼ばれ、露店が出て大変な賑わいを見せます。
特にその年最初の天神市である1月25日は「初天神」と呼ばれ、12月の「終い天神」と並んでたいへん多くの方が訪れます。今年の初天神は日曜日という日の巡りもあって、例年以上に多くの方が訪れているように感じました(人出は約15万人とのこと)。今出川通に面した表参道はたいへんな混雑で、本殿前にたどり着くには30分は必要だったと思います。露店の数は周辺の道路も含めて約1000店も出ています。お急ぎの方は迂回して東門から入るのも一つの手かもしれません。
今年は数多くの人の手に渡ったのが、昨年から約60年ぶりに授与が再開された「思いのまま」という梅の枝のお守り(初穂料1000円)。境内に約1500本ある梅の枝の剪定時に出る梅の枝に、厄除けの玄米が入ったひょうたんをつけた授与品で、災難厄除・学業成就のご利益があるだけでなく、梅の枝は生け花として水を入れた一輪挿しにしておくと、やがて花を開きます。紅梅か白梅かは咲いてみてからのお楽しみなのだそうです。北野天満宮の梅は邪気を払い、災難厄除の力が強いとされ、12月13日から授与される梅の実「大福梅」も、ほどなくなくなってしまうほどの人気。この「思いのまま」も飛ぶように求められていきました。
ひょうたんに入っている玄米は、道真公の命日である2月25日に「紙立(こうだて)」として神前に供えられたもの(恐らく昨年のもの)。紙立(こうだて)は、玄米に梅の枝を差したもので、紅梅は33本、白梅は42本が神社に奉仕する神人(じにん)の方々によって奉納されています。33と42は男女の厄年の年齢を表し、厄除けの願をかけています。「思いのまま」では、ひょうたんに入れられたこの玄米を自宅で炊くご飯に混ぜて食すことで厄除けのご利益を授かれるとのことでした。昨年は1000本が午前中には売り切れましたが、今年は10倍の10000本用意されたそうで、15時頃でもまだまだ数は残っていました。
本殿の裏では、例年今頃に咲く早咲きの白梅が花開いていました。服部嵐雪の「梅一輪 一輪ほどの暖かさ」の句の情景が浮かんできます。この日は3月上旬並みの暖かさで、梅一輪ではなく梅満開頃の気温となりましたが、そこはやはりまだ「寒の内」。27日の後半からは寒気が入ってグッと寒くなってきています。本格的な梅の見頃はまだまだ先。この寒さや寒暖差で、体調を崩されぬようご注意ください。
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ガイドのご紹介
吉村 晋弥(よしむら しんや)
気象予報士として10年以上。第5回京都検定にて回の最年少で1級に合格。これまでに訪れた京都の観光スポットは400カ所以上。2011年秋は京都の紅葉約250カ所、2012年春は京都の桜約200カ所を巡る。自らの足で見て回ったものを紹介し、歴史だけでなくその日の天気も解説する。毎月第2水曜日にはKBS京都ラジオ「笑福亭晃瓶のほっかほかラジオ」に出演中。特技はお箏の演奏。